折り紙手紙
「せんそうしてるくにがある」
路地に面した自宅の郵便受けに
青鉛筆でそう書かれた
赤い折り紙が二つ折で入っていた
よほど小さな子が
あまりに辛くて
こんなことをしたのだろうと
それはもうずいぶん昔の話
せんそうしてるくに
は増えるばかりで
赤い折り紙を覚えているのは
私のほうだけだろうか
小さな子
どのくにの小さな子でも
少しの悪いことはするけれど
あなたが小さな子であるという
それだけで光っている
小さな子だった折り紙をくれた人
今頃はもう大きくなって
まるで一人前であるかのようになど
振る舞わないでほしい
知らない家の郵便受けに
ひっそりこわごわと背伸びして
触れた時の全身の記憶
おそらくそれがあなたの本来です