詩、海、おにぎり
詩を書くのはすてきなことじゃないの。
おにぎりに貼り付いたノリみたいなもの
海でとれたものはみんな嫌な味がする
血と海水は同じものなんだって
女の子は月に一度満ちるんだって
わたし、女じゃないの
満ちたことがないから
自主的にノートに排出している
お母さんがこっそり読んでいるの
知ってる
わたしもこっそり読んでいるから
おあいこ
男の子はそんなことしない
たぶん
お父さんはスキーにいったよ
わたしが熱をだしていても
いったよ
詩を書くのはすてきなことじゃないの!
じかまきのツナマヨおにぎりおいしい
半年に一度の採血
ずっと慣れないけれど
血はあんがい黒っぽい
じっと見ていると安心します
終わったら居酒屋で君と打ち上げ
シメサバがおいしい
栄養たくさんつけて
君は歌って
私は書いて
ダメ出ししあって
笑っている
君はどこにもいかないね
免許とったら海にいきたいね
月が消えたら満ちる
はじまる
詩を書くのはすてきなことじゃないの?
まじめ君をあざ笑う輩の口に
めいっぱいのモミノリを詰め込んでやる
嫌でも消化吸収されて
体をめぐるよ
一緒におにぎりを作ろう
誰でも作れる
おいしいやつ
交換して食べよう
おいしいやつ
高みの見物はつまらない
監視員の望遠鏡に
わざと映り込もう
そして大きく手をふって
遠くまで泳ぐ
深くまで潜る
海面のごみなんて気にしないで
海の中は
それはそれは
美しいはずだから