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右前と左前

お茶をはじめてから着物を着るようになりました。成人式はスーツでしたのでまさに50になってはじめて着たようなものです。着物の場合は、相手から見て右の衽(おくみ)を出して着る「右前」が常識となります。いわゆる左前は死装束なのでダメですよと何と無くは知ってましたが、着なれないとこの左前を間違えて自分の左側の衽(おくみ)を体につけないとと勘違いして「左前」の着方をしている方をたまにみます。旅館の浴衣で多いですが、この前のお茶会で若い女性が自分で着付けたと嬉しそうにお話ししてましたがどこか違和感があるな…とみてみると左前でした。洋服の場合は、男性は右前、女性は左前なので、間違えたのかもしれません。そっとお教えしたら恥ずかしそうにされてました。

たまにお稽古の前に現場へ行くという荒技…をしてたりします。

建築にも着物のように右前、左前があります。サッシや襖、障子などの引き違い戸は向かって右の戸が前(手前)になります。日本建築の建具の建て付けは「右前」となっています。向かって右を手前に、左を奥に納めます。反対側から見ても同じです。

なぜそうなったのか定かでは無いのですが、「左前」という言葉には運がなくなって経済的に苦しくなるという意味があるので家の繁栄を願う日本建築は着物と同じく「左前」は禁忌としてされたのでしょう。3枚の引き戸も敷居の溝を3本にして右に一番手前の建具がきます。4枚の引き戸の場合は部屋の中から見て真ん中の2枚が手前になります。

CADで図面を引くには当然の知識なのですが、図面の場合建具をコピーしたり90度回転させたりして配置するのですが、たまに無意識に反転してしまい「左前」になることがあるので最終チェックで必ず確認するようにしています。

障子などを外して建て込むときに順番が分からなくなったら思い出してください。

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