この地方で心を澄ませば 細部に宿るものを感じられるだろうか…
南フランスのラングドック(Languedoc)地方。 オック語を話す土地という意味で、フランスでも主要なワイン生産地の一つです。
フランスの地方都市、葡萄畑に囲まれたのどかな田園風景が思い浮かびますが、ヨーロッパの歴史を紐解くと、かなり壮絶な地域でもありました。
中世ヨーロッパで行われた十字軍と言えば、カトリック諸国が聖地エルサレムをイスラム教諸国から奪還するために送った遠征軍のことですが、派遣元である西ヨーロッパにおいても、キリスト教の異端に対する討伐として十字軍の遠征が行われました。
中でも南フランスで盛んだったカタリ派を征伐するために派遣されたアルビジョワ十字軍は熾烈を極めるものでした。
カタリ派
10世紀半ばにフランス南部とイタリア北部で生まれ活発となった民衆運動で、当時のカトリック教会の聖職者の堕落に反対するものであった。
汚れた世俗との関係を断ち切る禁欲生活を旨とし、完全な禁欲生活を送る聖職者のような特別な信徒、完徳者を中心とした小規模な信徒のグループを形成する。カタリ派は旧約聖書を認めず、新約聖書の中にある二元論的表現や、平等主義的な表現を重視。また、教義上、女性信徒が行える秘跡もあり、一般的なキリスト教に比較して女性の地位は高かった。
神による一元的な創造、三位一体、幼児の洗礼、免罪符、階層的な教会組織などを認めなかったため、カトリック教会から激しく非難されることとなる。
カタリ派が多く、信仰に寛容で弾圧初期には彼らの擁護も行ったトゥールーズ(Toulouse)を観光です。
バラ色のレンガと白い石の美しい市庁舎 キャピトル
サン・セルナンバジリカ聖堂
オーギュスタン美術館
神は立派な教会にいるわけではなく、あらゆる場所に存在し、日常の中で個人が直接神と対話する。
以前本で読んで、どんなところなのか行ってみたくなった場所…
信仰という拠り所だけでなく、自立が可能な土地は豊かでもあったはずです。
次はそんな信仰を奉じ、最期を迎えた城砦の街カルカソンヌに向かいます。
北方十字軍に少し触れています:
(滞在: 2009年11月)