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コミネキ緑樹園

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今まで読み溜めてきた森林、樹木、木材から環境や生物、水資源等に関するまとめ
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#里山

里山と木質資源 里山資本主義を振り返る

2013年に発行され、大きな反響を呼んだ藻谷浩介氏による「里山資本主義」。 2008年にリーマン・ショックが起こり、お金がお金を生みだすというマネー資本主義が崩壊。 2011年には東日本大震災が発生、これまでの原子力に頼った電力供給や東京一極集中型の社会構造が顕在化するとともに、持続可能性や再生可能エネルギーに対する関心が一気に高まりました。 再生可能エネルギーといえば太陽光や風力、地熱といった自然環境から得られるエネルギーと結び付けられがちですが、日本にとっては伝統的で

山林と里山 荒廃の意味するところ【日本・近現代】

在りし日の山林の姿… もはや目にすることは叶いませんが、当時の風景画からその様子を窺い知ることができます。 江戸時代の浮世絵師、歌川広重によって描かれた東海道五十三次。日本橋から京の三条大橋に至る道中には緑あふれる森林など見当たらず、遠景の山の木々も貧弱で樹木もまばらにしか描かれていません。 さらに時代を下り、明治時代から昭和の中期に撮影された農村の写真にも、豊かな森の姿を見つけることができないのです。 江戸時代には森林資源を確保するため、幕府や諸藩、社寺等が伐採の禁止や