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コミネキ緑樹園

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今まで読み溜めてきた森林、樹木、木材から環境や生物、水資源等に関するまとめ
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2022年5月の記事一覧

山林と里山 荒廃の意味するところ【日本・近現代】

在りし日の山林の姿… もはや目にすることは叶いませんが、当時の風景画からその様子を窺い知ることができます。 江戸時代の浮世絵師、歌川広重によって描かれた東海道五十三次。日本橋から京の三条大橋に至る道中には緑あふれる森林など見当たらず、遠景の山の木々も貧弱で樹木もまばらにしか描かれていません。 さらに時代を下り、明治時代から昭和の中期に撮影された農村の写真にも、豊かな森の姿を見つけることができないのです。 江戸時代には森林資源を確保するため、幕府や諸藩、社寺等が伐採の禁止や

乱世 と 天下統一 と 破格の森林採取 【日本・近世】

歴史的な記念建築物や壮大な都市造営… 繁栄の陰には膨大な森林資源の消失が潜んでいました。 現在は貴重な文化財として保護・保存されている建築物ですが、改めて見渡すと、実に多くの建物が集中して建てられた時代があります。 16-17世紀、未だかつてないほど森林資源を消費する時代が日本に訪れます。 16世紀の戦国時代。城に城郭・城壁はもとより居城や砦など、戦国大名たちによる戦争によって、破壊と建設が繰り返されていきました。 濠を巡らし石垣を築くのにも基礎的な建築材料として木材が必