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恋愛ヘッドハンター2 砂時計⑥

智也は窓際のソファに移動し、カーテンを開けた。
夜空から小雪が降り注いでいた。
ゆらゆらと戸惑うように方向を不規則に変えながら落ちていく。
智也はそこはかとない不安を感じた。
人の心変わりと似ていると思ったからだ。
「逃げたってどういうことよ」 
れいかが早口に問う。
智也は不安を心の奥に押し込めた。呼吸を整える。
「俺が席を立ってからしばらくして出ていったらしいよ。何も言わずに」
「どういうことなのかな」
「男はれいかが思うより繊細なんだよ。けど、絶対、大岡さんは風間さんに会いにいくよ」
「そうなの?何でわかるの?」
「え、れいか、資料ちゃんと読んでないの?」
「自分の担当じゃないから、ざざっとしか読んでない」
あっけらかんとした返事が清々しい。
「二人の職業と今の状態を確認してみてよ」
「え?ちょっとタブレット立ち上げるから待って」
智也はしばらくの間、れいかの鼻歌を聞かされた。
「あ、そういうこと?」
「そう、そういうこと。二人はどちらにしろ再会する運命なんだよ」

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