民泊体験レポート vol.1
2〜3人のグループごとに農家さんのご自宅に宿泊し、農業体験を行った際の様子やインタビューをお届けします。
受講生: 太田さん、爪爪さん
受け入れ先: 神田清栄さんご家族
阿賀町は、平成 17 年に4つの町村が合併してできた町です。人口は1万人以下ですが、新潟県で3番目の広大な面積を有しており、 その多くは山間部です。私たちがお世話になったのは、町の西部、三川地域の神田さんのお宅。夜には、庭で蛍が飛んでいました。
翌朝、神田さんが耕作している田んぼを案内していただきました。
奥阿賀酒米研究会の契約圃場には、麒麟山の幟とともに「生育調査表」の看板があります。
神田さんが作っているのは、酒米が越淡麗・たかね錦、食用米がコシヒカリ・ミルキークイーンの計4種。やはりコシヒカリが最も割合が大きく、次いで越淡麗とのこと。早生(たかね錦) ・中生(コシヒカリ、ミルキークイーン) ・晩生(越淡麗)と、品種それぞれの生育状況を把握して作業する必要があります。
神田さんは営農支援用のアプリも使用していますが、「従業員を雇っている農家では情報共有できて良いと思うけど、自分には正直、使いづらい」と苦笑。
私たちの作業は苗箱の洗浄。専用機械で一枚ずつ洗います。全部で 1,300 箱ほどですが、活動時間内に洗えたのはごく一部。箱の色によって品種が分かれています。
Q 米作りはいつから始められましたか?
A 親の手伝いしてることから入れれば、もう中学生ぐらいから。その頃はまだ自分で栽培計画立てるとか、肥料をどれだけ使うとかってことはやってないけども、作業の手伝いはやってましたね。 実際に基礎からやるようになったのはいつ頃だろうな。30 歳ぐらいから?
Q 当初は、米作り以外に、他のお仕事も並行してされていましたか?
A そう。だからほとんど土日だけ、米作りをしていました。そのときは、中心は父で、(自分は)補助的なところで。その頃はそんなに面積も多くなかったかな。
Q. 酒米を作り始めて、何か苦労がありましたか?
A. あんまり苦労って感じていないんだけど。
Q. 食用米と酒米ですと、 それほどの大変な違いっていうのは、取り立てて感じない?
A. そうですね。基本的に技術的な違いってあんまりないかなっていうか、俺もわかんないだけかもしれないけど。 病気になりやすいとかね、品種によっては倒伏しやすいとか、そういう傾向もあるんですね。それは気になります。あまり大きな被害に遭ったことはないですけども。
Q. 全体的に、今困ってることありますでしょうか?
A. できれば苗を自分で育てたいと思ってるんだけど、スペースとか設備の問題で、出来ていない。(他から買うと、)なかなか適切な時期に植えられないということがある。あとは(米の)乾燥調製面での設備が足りないというところ。
Q. そもそも奥阿賀酒米研究会に入られたのは、いつ頃の時期なんでしょう。
A. 40 代ぐらいの時?だから 30 年くらい前。その時は、某農機具メーカーに勤めていて、 津川の営業所にいた。 お客さん回りをしてて、まだ発足当時だった酒米研究会のメンバーの人にお会いして話を聞いて、それで入れてもらった。酒米研究会も来年 30 周年だから、設立メンバーではないけど、ほぼ同じくらい。
Q. 酒米研究会で印象に残っていることはありますか?
A. 終わった後の懇親会がかなり盛大に盛り上がる(笑)私も酒が嫌いじゃない
んだよね。 それは嬉しいです。酒米研究会は基本、中干し研修会、 穂肥研修会、刈取りの時期には必ず開催されてますので。普段会えない人とも会えるしね。農家やっていると、あんまり人との交流はないんですけど、そういう意味では非常にいいですよ。嬉しいというか、面白いですね。
Q. 田んぼをやっていてよかったと思う瞬間はありますか。
A. やっぱり良い米が穫れた時。災害もなく、きれいな良い米で、稲を刈れた時はいい。
Q. 地域の農業をこれから継いでいくために、 どういったことができそうでしょうか?
A. 誰かに、(奥阿賀酒米研究会での活動など、) やってることを継続してもらえるような形に繋いでいければいいかなと思ってますけどね。希望者がいればね、第三者承継とか。
Q. 今、若手の就農者は新たに入ってきていますか?
A. 個人の就農はちょっと聞かないかな、この地区では。ただ、農業公社には結構、 若い人で入った人はいる。津川とかそちらの地区には、地域おこし協力隊で入ってきて、任期が終わってから自分で農業をやる人もいます。
Q. お酒は飲まれますか?
A. 毎晩飲みます(笑)量はそれほど。
Q. 好きなおつまみは?
A. 鳥レバーが好き。塩味の。
Q. 阿賀町の好きな場所はどこでしょう?
A. 上川地区の三階原。そこの田んぼから見る飯豊連峰が凄くいいなと思って。春先はかなり雪が残っていて、綺麗に見えるんです。
神田さんが農業に関わり始めた時期や酒米研究会に携わり始めた経緯などをインタビューしてくれました。栽培計画を立てたり、肥料の量を状況に合わせて調節したりするのも農業をする上での重要なこと。農作業は一人で担っているように見えて、酒米研究会を通じた同業者との交流があってこそなのですね。そして、米作り大学恒例質問の「好きなおつまみは?」もしっかり聞いてくれました。神田さんと飲む際は、鳥レバーの塩味を持っていきましょう(笑)。
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