島で暮らしたい。だから、島へ行く。
いつか離島で暮らしたい。
そう思うようになったのはいつからだろうか。
私が初めて離島を訪れたのは大学生の時。奄美大島だった。
人生の夏休みと呼ばれる大学生の期間。
授業、サークル、バイトと予定を詰めまくることが当たり前になっていた当時の私は、2か月弱の夏休み、暇を持て余すなんてもったいない!せっかくだから普段できないことをしなくちゃ!という気持ちに駆られていた。
その時、私は大学3年生。
「就活」「インターン」という文字が頭にちらつき始める。
ただ、その現実に真正面からぶつかりたくない気持ちがあった。
「なんか楽しいことないかな~」
当時興味があった言葉を入力し、ネットサーフィンを繰り返す。
「地方創生」「インターン」
たしか、そんなキーワードだったと思う。
見つけた。
離島で数週間インターンができるプログラム。
「面白そう!行ってみたい!」
わくわくしている自分がいた。
そして、数か月後、私は奄美大島に降り立つ。
Iターンで移住し、半自給自足の生活をする大家族の家にホームステイをして過ごした2週間。
飼っている動物のお世話をしたり(動物が苦手な私にとっては過酷だった笑)、暑い中汗を流して畑の手入れをしたり、子どもたちと遊んだり。
片道1000円ほどするバス代を節約をするためにヒッチハイクにも挑戦。休日は同じインターン生と観光も満喫した。
とにかく刺激的で、楽しい時間だった。
外を出るとすぐ目の前に広がる雄大な自然。青く澄んだ海。
都会とはどこか違うゆったりとした時間の流れ。人のあたたかさ。
私はすっかり島に魅了されていた。
いつかまた必ず戻って来たい。
旅行や今回のように非日常の延長線上としてではなく、これを日常にしてみたい。
島の恩恵をただ受けるだけではなくて、自分も何かしらの形で島に貢献したい。
いつか島で暮らしてみたい。
気付くと、そんな気持ちが芽生えていた。
島暮らしはいつか叶えたい夢。日常に戻る。
家族も友人もいない離島に移住する決断が簡単にできるはずもなく、私はすぐに日常に戻った。
そして、世間の流れに呑まれるように就活をし、社会人になった。
社会人になってからも変わらず楽しく、日々は充実していたけれど、忙しさから、いつか叶えたい夢は忘れかけていた。
社会人3年目。久しぶりに再会した高校時代の友人と旅行することに。
「五島列島に行こう」
友人が提案した行先はあまりにも唐突だった。
ダーツの旅か何かでその島の名前は聞いたことがある、くらいの認識だった。
けれど、久しぶりの離島にわくわくした。
せっかくだから滅多に行かない場所に行こう、と私たちは五島列島3泊4日の旅を決行。
それから数か月後、私たちは答志島にも訪れた。
大学生ぶりの離島。やっぱり楽しかった。
島の雰囲気はそれぞれ違うけれど、島独特の時間の流れや人のあたたかさは変わらなかった。
島を訪れるたび、いいなぁと心惹かれた。
しかし、旅行はどこまでいっても非日常。それに物足りなさを感じている自分もいた。
いつか、いつか絶対に島暮らしをする。
私の消えかけていた想いが再び強くなった。
やっぱり島で暮らしたい。そこで日常を刻みたい。
それからさらに1年ほど経った頃。
五島列島を一緒に巡った友人の住む土地に旅行に来ていた時だった。
Instagramを見ていると、お試しで島に移住できるプログラムの広告が目に飛び込んできた。
「何これ!面白そう!」
気付くと私は、夢中になってそのプログラムについて調べていた。
近々都内で開かれるイベントがあることを知り、すぐさま申し込む。
そこでそのプログラム参加者の話を聞き、2泊3日で島暮らしを体験できるプログラムに参加することにした。
その2泊3日では、シェアハウスでご飯を作ってプログラムに参加しているメンバーと食べたり、みかんの収穫を体験させていただいたり、旅行とはまた違った経験ができた。
けれど、たったの2泊3日。非日常であることに変わりはない。
島に1年以上暮らしたい。四季を感じながら。
その土地の人と交流して、文化や歴史をより深く感じて。
自分もその土地で働いて。
いつか島で暮らしたいという想いはより鮮明になった。
いつかは永遠に訪れない。葛藤。
「いつか離島で暮らしたいと思っているんです」
数年海外の離島で暮らしたことがある人に伝えてみた。
「いいね~。でも、若いうちは都会にいたほうがいいよ。色んな経験ができるし、島暮らしはいつでもできる。」
そんな言葉が返ってきた。
たしかにそうかもしれない。
でも、島は医療体制が十分でなかったりするから、健康で元気なうちに経験したほうがいい気もする。
何より、いつかいつかと思いながら自分の気持ちに蓋をして、今を過ごすことに耐えられない、と思った。
この先何が起こるかわからない。いつかいつかと思いながら、そのいつかを叶えられない状況になるかもしれない。
ただ待っていても自分の理想は現実にならないから。
決断するしかない。
そう思って、1年間移住するプログラムに応募した。
ただ、当時の私は転職して1年も経っていなかった。
こんな中途半端な形で今の組織を離れていいのか。葛藤があった。
また、その時期はちょうど繁忙期。疲れからか、謎の体調不良になり、こんな不安定な状態で島には行けない、と結局辞退することになってしまった。
今の生活を続けて、それでもやっぱり島に行きたいと思うなら、来年こそ島に行こう。
そう自分の中で決めた。
2025年4月、島暮らしを始める
島で暮らしたい、その気持ちは変わらなかった。
だから、本当に行くことにした。
実際に島に行くのは半年後。来年の4月。
ようやく島暮らしを実現できる嬉しさ8割と、
島から戻ってきてからどうしよう(特に仕事)という不安2割。
振り返ってみると、島で暮らしたいと思ってから結構な年月が経っていた。
その間、いろんなことを考え、悩んでいた時期もあったのだと気づかされる。
島で暮らしてみたら、理想と現実のギャップに思いやられることもあるかもしれない。
けれど、それもぜんぶ自分の中に取り込んで、心に刻んでいきたい。
まずは1年間。自分がその土地で何に出会って、何を感じるのか。
今はやっぱりわくわくする気持ちの方が大きい。
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