Nada Surf - Moon Mirror(アメリカ) /The TAPE 11 - side A
今日はミックステープ11番A面の6曲目について。
1. Amy Winehouse - You're Wondering Now
2. Mucca Pazza - Alarm!
3. OK Go - Television, Television
4. BUCK-TICK - スブロサ SUBROSA
5. Escuela Grind - Turbulence
6. Nada Surf - Moon Mirror
7. Angela Aki - 宇宙
8. Jamie xx feat. The Avalanches - All You Children
9. Sparklehorse - Cruel Sun
前回のポストからだいぶ時間が空いてしまった。ノートを始めてみて、改めて文章を書くことの難しさを感じている。特に書き出しの部分は何を書けばいいのか不安になり、キーボードを触れること自体気後れしてしまう。
この気後れを払拭する処方箋があるとするなら、それは一にも二にも「継続」の二文字しかないのではないか。それが簡単に出来るなら世話はないが、今回紹介する1曲は、そんな言葉が大切であることをまさに体現しているバンド、ナダ・サーフの通算9作目から選ばせてもらった。
Nada Surf - Moon Mirror(2024)
今回、「継続」を意識して記事を書くために、ナダ・サーフがリリースした全てのアルバムを聞いてみる必要があった。7作目『You Know Who You Are』(2016)はサブスクリプションでは聞けないのでCDを取り寄せた。
全て聞き終えたいま、彼らの音楽的変遷が実に美しいグラデーションをなしていることに感慨を覚えている。
ポストグランジ〜オルタナティブ方面のファンから支持を受けたデビュー作『High/Low』(1996)を色で喩えるならエネルギー漲る鮮やかな黄色だった。それが最新作では深々と冷える冬の夜空を思わせる濃紺になった。
その間、実に30年。バンドは作品ごとにオルタナティブカントリーやパワーポップの要素を強めつつ、幾度かのメンバーチェンジを重ねながら、色彩は緑色を深めていく。前作『Never Not Together 』(2020)が描いたのは透明なブルー。そして今作の色彩へと至っていると感じた。
長いキャリアを通じて音楽性の変化が重なっていくことはなにもナダ・サーフに限ったことでない。だが、これほどまでに階調が美しく遷移してキャリアを重ねているアーティストは希ではないだろうか。
今回ピックアップした曲は昨年リリースされた最新アルバム『Moon Mirror』収録のタイトル曲。全曲美しくも力強いナダ・サーフ流ロックが目白押しであるなか、繊細なアレンジとコーラースワークが結晶化したひときわ透明度の高い夢のような一曲だ。
次回、7曲目は本格的な再始動が待ち遠しいアンジェラ・アキの一曲。
ミックステープはMixcloudで公開中。