BOOK

学生時代には気づけなかった（厳密には単語として知っていたが、本質的に理解できていなかった）ことのひとつに「知性」がある。今日のテーマはこれでいこう。

過去をたどると、ぴちぴちの年齢の頃は自分の知らないことを知っているだけで「この人すごいなぁ」「尊敬するなぁ」と思う瞬間が何度も訪れていた。社会人になって数年間もその延長が続いていたかもしれない。

例えば、歴史や文学、グルメ、お酒、スポーツなど。自分が詳しくない分野の情報を他人がもっていて、それを語っている姿を目の当たりにすると「そんなことまで知っているんだ」「勉強家だな」と思っていた。いわゆる「博識な人」と呼ばれるジャンルだろうか。

ここ最近は、それとは違う要素がないと、一歩先まで踏み込んだ「人間味（のようなもの）」に興味を示しづらい感覚が芽生えるようになってきた。これは20年以上生きてきた自分の中で、ほぼ初めての感覚というか理解というか。人として磨きをかけるには「博識」だけでは限界があると思うようになったのだ。

ここで区別が難しい「よく本を読む人」。一般的なイメージだと、「頻度（一日何時間、週何日など）」が高く、「本の量（何冊、何ページなど）」が多いときに「よく」本を読む、と言われると思う。読んで吸収する情報が増えて、記憶に刻まれるほど博識に近づいていく。

ただし、本をたくさん読んで情報量が増えるのは知識のアップデートのようなもの。読む頻度が高くても、量が多くても、人間味や人間性を磨くのに直結するわけではない。その先を行くためには「知性」を磨かなくてはならないと思うようになったのだ。

とはいえ、知性を磨くのはとても難しいことも痛感している。なぜならロールモデルやデフォルトがなく、自分自身で試行錯誤しなければならないから。

「博識」を目指すのであれば、同じ情報を同じだけ記憶し、Ａさん・Ｂさんそれぞれから情報を聞いても同じものが返ってくる。一方、「知性」を磨くのであれば、Ａさん・Ｂさんが同じものを食べても、同じ本を読んでも、アウトプットする情報や考え方が違ってくるはずで、それが個人のオリジナリティとして形成されていく。

私は「話す」「聞く」「考える」といった人として組織で生きていくためのスキルがまだまだ未熟だ。よりスキルアップするために本を読んでいるが、ただ読めばいいわけではない。本を読み、何かを自分の中に落とし込み、人との関りの中で実践し、振り返り……。そんなことを繰り返しながら、知性を磨いていかなければならない。

うーん。また年月を重ねて分厚く言語化できるようにしておこう。今日はとりあえずここまで。