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『夜明けのすべて』
映画『夜明けのすべて』を観ました。
ずっと気になっていた作品で、大切に大切に観ました。
パニック障害を抱える山添くんと、PMSの症状を抱える藤沢さん、お互いが自分にとって苦しいことやしんどいことに敏感になれるからこそ、周りにいる誰かの辛いことに気づけるのだと思った。だから二人は、助け合える存在になったし、自らを隠さずに、自分を受け入れるように相手にも接していたのかなと感じた。
それぞれが自分と向き合うために、周りの人ともしっかりと向き合おうとする姿がとても魅力的だった。特別扱いすることなく、普通の中に存在しているのだと思えることに尊さを感じ、私もまたその一員になりたいと思った。
特に私が好きだったシーンがある。それは、会社の大掃除の時に、PMSの症状が出始めた藤沢さんに対して山添くんが落ち着き方を提案しながら一言、「1人で怒っていてください」と言ったシーンである。
その言葉をかけられたあと、少し文句を言いながら藤沢さんが洗車を始めるのもまた良い。
思わず、ふふっと笑ってしまった。
一見、冷たい一言に聞こえるが、私としてはいい距離感のサポートだと思った。山添くんらしい?俯瞰的で冷静かつ、その人にとっての最善を考えた選択だったのだろう。それから藤沢さんはPMSの症状が現れた時に会社の車を洗いに来ることもあった。きっと、あの時のあの山添さんの行動が、藤沢さんの安心する場所をつくったのだと思った。
二人が働いている場所もまた素敵で、夕方の日の光のようなあたたかさを感じる場所だった。
みんなが自分のリズム、スペースで生きていて、その少し余った余白で誰かを助けているそんな感じだった。
すごく居心地が良さそう。誰も無理してない、誰も頑張りすぎてない、みんなが穏やかにやさしく生きているようだった。
プラネタリウムのシーンを観ながら、自分の気持ちが鏡に映し出されたような感覚になった。
私は最近、夜明けにならないと眠れない。
真夜中は不安でいっぱいになる。外が明るくなるのを感じてからじゃないとなぜか落ち着かないのだ。自分のことなのに、それがどうしてなのか全くわからない。でも、この映画を見たら、夜がちょっとだけ明るいもののように感じることができた。
きっと私にも夜がこわくなくなる日が来るはずだ。
だって、何かの終わりも始まりも必ず来るのだから、それを信じて、夜に少しの希望を抱きたいと思う。
夜に支配されるのではなく、私が夜を独り占めする。そのくらい強気になってみようかな。
この映画は私に"大丈夫"の印を押してくれるような、生き続けるための明るさを教えてくれるような映画だった。