自然栽培4つの段取り③1/2 美味しいお米の育てかた#027
今回は具体的な環境整備の考え方や方法についてです。
田んぼ畑の作業で注意すべき忘れがちなこと
それは
なんとなくでやっちゃってる
ということです。
なんとなく代かきする、とか、なんとなく草を刈るとか。。
繰り返しの作業になるのでボケーっとそういうモードに陥ってしまいがちですが
この作業はなんのために
どのようなことを狙って
今の現場ではどうするのがフィットするのか
以上の3点に気をつけることで農業がめちゃくちゃクリエイティブな現場に変わります。
そんな視点を持って実際の環境整備について見ていきましょう。
3rd Stage「環境整備」
見立てた圃場を自らの土壌の力で植物を栽培できるようにしていきます。
できることなら
田んぼなら水に困らない水のコントロールが可能な圃場。
畑なら石が少なく作土の深い圃場。
であるに越したことはありません。
しかし条件に恵まれていない
栽培自体が難しいような石ゴロゴロ、作土ほとんどない
といった田畑も存在します。
例えば作土が浅い場合は他方から土を持ってくる
いわゆる客土を行うほうが良いケースもあります。
この場合、最初から自然栽培と銘打って無理に栽培を始めるよりも、
そのための環境を準備することを優先するほうが
長い目で見れば確実に自然栽培を実現するためには有効です。
5年後10年後にちゃんとできていればいいなら
最初の数年の環境整備は栽培の基礎作りでもいいわけです。
無肥料という言葉に惑わされない
従来、多くの自然栽培者の間では圃場がどのような状況であれ
あらゆる資材の使用は自然栽培ではタブーであるといった見解がほとんどでした。
しかし過去の履歴を見据えたうえで、あまりにも残肥が多く
除草剤や土壌消毒などで生命そのものが少ない場合などは、
初期の段階では微生物資材なども利用し、土壌の性質を改善することも必要な場合があります。
過去こういったタブーにより
実に多くの生産者が挫折し自然栽培の営農を諦めていきました。
しかし、ちゃんと段階を踏めば解決できますので
現場にあった栽培・営農プロセスに無理がないことを確認してみましょう。
何事も適材適所適期
このようなバランス感覚はビジョンが偏らないようにするためには大切です。
こうでなくてはならない、という先入観に埋没してしまうと
自分がなにをしたかったのか、現場でなにをやるべきかが曇って見えなくなることがあります。
着実に実現していくには
土壌の変化のリズムに合わせることが必要です。
数年かけて自然栽培を可能にする計画において
初期の環境改善には、それぞれの圃場に適したアプローチを選択する必要があります。
特に経営を視野入れている場合は、それらの方法も上記の客土のように
初期に限定した上で採用することで、
数年後に自然栽培として販売がスタートしやすいこともあります。
まったく何も栽培できない中で諦めてしまうよりも
着実に土にかかわって変化を体験することが大切です。
ただ、そういった資材を使用したことでの土壌バランスの反動があるという可能性も忘れないようにします。
自然の作用と反作用のバランス
その観点が非常に重要です。
畑のアプローチから見るバランス改善
作土が十分あり、残肥を解消したい場合ですが
畑を例に考えていきます。
良く耕しイネ科の麦類やソルゴーなどをクリーニングクロップとして圃場の環境に応じて2、3年栽培して解消していきます。
この際、栽培植物がしっかり登熟し、枯れきったものを鋤き込んでいくことで余計な窒素分などが土中に再び戻ることのないようにします。
とは言え、完全に抜けきっているわけではありませんので
多少の影響は考慮しておく必要があります。
自然の植物を見ても、緑の状態で土中に入っていく植物は
地滑りや土砂崩れなど以外では生理的に極めて稀です。
むしろほとんどの植物は枯れて地表に堆積して土に戻っていくものです。
また、緑のものが土中に入ると分解に働く菌の様相が
枯れたものを分解する菌と違って匂いもきつく
腐敗しているような状態になるため土中環境のバランスが
著しく変化するようにも感じられます。
緑肥として利用する従来の代謝型の栽培方法では
これらの肥料効果を狙ったものであり同じ植物を栽培しているとしても
観点と役割が違うものであることが特徴です。
本来地表に堆積して時間をかけて腐植となっていくことが
土壌環境には負荷のないアプローチです。
しかし、栽培圃場では文字通り栽培が目的なので
そのスピードを、ある程度の負荷を残しつつ早めていくことは許容範囲だと割り切っています。
枯れた植物を鋤き込んでいく場合でも
自然のバランスに対するインパクトを推定して
土壌を整えていくことが肝要です。
また、畑のハウス栽培の場合は、
ビニールをすべて外して太陽や雨や風が通るようすると、
土中バランスの展開が早くなります。
一方、田んぼの場合はひたすら栽培を続けることに尽きます。
水の浄化力とイネの代謝力は土壌の変化を促進する素晴らしい組み合わせです。
マングローブよりも水質浄化をするとも言われる稲の力に委ねましょう。
続く
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