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草は見ずして取る 美味しいお米の育てかた#038
「やった!田んぼ楽勝!豊作じゃん!」
青々とした田んぼを眺めてそう思っていたら
「あれ〜草だらけだねぇ」
と近所の農家さんに笑われて気がつきました。
田んぼのそれは稲ではなくほとんどが草。。
これが私の自然栽培1年目の幕開け。
しかし、そんなど素人が自然栽培を続け
平気反収400〜450キロに達し品質保持と
自然環境保護・生産者健康保護を両立させる
クリエイティブかつ経済的にも豊かな営農体験から
美味しいお米の育てかたを公開しています。
さて、ようやく田植えまで終わったら次は
除草作業に入ります。
除草剤を使わない代わりに
秋起こしをし
春起こしをし
代かきによって前もって除草を狙った工程も合わせて
田づくりをしてきました。
まだ見ていない方は以下を参照してください。
除草と中耕
ここまでの管理次第では
田んぼの草が生えなくなってくることもあります。
しかし、10年以内の田んぼではまだまだ
草たちも地表を守る機能を果たすまいと
頑張ってくれます。
そのため除草と中耕を兼ねて田んぼに入ります。
昔から
草は見ずして取る
という金言があります。
草が生える前に対応することは
稲作では古来から常識とされていました。
「今年も草取りが大変で」「無農薬だから」
というセリフをよく聞きますが
しっかり自然栽培に精通した生産者が関わっていれば
そのような事態にはならないだろうと思います。
しかしながら、草取りが好き
運動不足解消!という人もいるので
営農を目的としないのならそれもアリですね。
田んぼエクササイズ。
あると思います。
除草時期
田植えから逆算して除草時期を算出します。
自然栽培に変えて間もない田んぼの場合は
以下のスケジュールくらい入ります。
だんだん歴が長くなってくれば
田んぼのコンディション次第ですが
初回の3,4回ほど入るだけで済むようになります。
田植え直後が勝負です。
田植え 6月10日の場合
第1回除草 6月15日
第2回除草 6月22日
第3回除草 6月28日
第4回除草 7月6日
第5回除草 7月14日
第6回除草 7月22日
第7回除草 8月1日
第8回除草 8月10日
心配なさそうであれば
後半は入らなくてもいいでしょう。
田んぼや苗のコンディションによりますが、ここまでやると
だいたい1反6俵(360kg)程度の収量には到達します。
しかし、3年目、4年目は土壌の性質が変化する時期で
収量が伸びないことが多いです。
そこを見越して
余分に面積を確保するなどの
リスクヘッジをお薦めしています。
面積がない場合は1/3程度からスタートすると
無理なく継続できるでしょう。
除草と中耕に役立つ機器
田植えが終わり4,5日経過すると
成苗の苗は代(泥田)にしっかり根を伸ばしています。
稚苗の場合は一週間程度かかり
除草をスタートする時期は成苗のほうが有利。
ここは成苗を進める大きな理由の一つです。
手植え前提の尺角植えであれば条間と株間に
除草機をそれぞれ通すことができるので
除草の効率が上がります。
「田車」と呼ばれる手押し除草機や
エンジン付きの除草機
中・大規模稲作では乗用の除草機などを使用します。
平均的に除草は一週間ごとに
トータル3、4回入ります。
草の勢いよりも稲のアレロパシーなども働き
生育がスムースになります。
アレロパシーについては以下を参照にしてください。
小・中規模の面積なら以下のエンジン付き手押し除草機がおすすめです。
こちらの機械であれば後ろにヘラのようなアタッチメントを装着すると
3回目の除草のあたりで
多少伸びた株間の草に白を被せ光合成を阻害し
草の生育を抑えることができます。
また、除草機をかけることで中耕の役割も果たし
固くなる代を柔らかくすることで
根が伸びやすくなります。
空気が入り、代がかき回されることで
土壌の微生物の活性化にもつながるとも言われており
この作業は除草・中耕という
一石二鳥の意味を持ちます。
ちなみに、チェーン除草なども数年
いろいろ試しましたが表層を撫でるだけで
あまり意味を感じませんでした。
また、稲に引っかかって抜けたり寝たりして
結果的にダメージを与えてしまうので
チェーン除草は基本お薦めしていません。
ジャンボタニシと除草
西日本の温かい地域においては
鮮やかなピ ンク色の卵の房が所々に現れます。
これは最初は食用のために輸入されたジャンボタニシの卵です。
現在は野生化し、いたるところで見ることが出来ます。
生息範囲は年々北上していると言われています。
九州の例では、水田の入水時期
入水口にネットの袋を早朝に取り付けると
夕方に は袋に入りきらないほどの
ジャンボタニシが入っているというくらいの旺盛な繁殖力です。
ジャンボタニシは水辺を好むため
水田に水が入ると数が多くなります。
水位が低いとその数も比例して減ります。
そのため田植え後、
稲が小さいときに水を多く入れたり、
深水にしたりすると
稚苗であっても成苗であっても
稲が食べ尽くされてしまいます。
そこで地元の生産者はうまく水位をコントロールし
水位を上げ過ぎないようにし
ジャンボタニシが発芽してきた元草を食べて
うまく除草するやり方を実施しています。
これにより稲作における除草作業を省くことができます。
稲が分げつを開始し大きくなってくると
ジャンボタニシが稲を食べることも少なくなってきます。
現代農業の問題的は
一方的な合理性を重視したことによる
生命との関わりかたが
自然の生理とズレて解決できないことです。
ジャンボタニシを害をなす生物として
薬品などで駆逐する以前に
関わりかたを変えれば稲作の良きパートナーとなることを
強調したいと思います。
そういうと一見、ジャンボタニシが
米づくりの救世主のようにも思えてきますが
味覚が敏感な消費者からは
タニシの糞が肥料となって
稲が代謝していると感じられるとの感想もあります。
もしそうであれば
稲の根も伸びにくくなり雨風によっては
倒れたり折れたりしやすい稲となってしまう可能性があります。
そこで西日本の優れた生産者はそういった観点からも
除草時期を除いて入水口にネットを張るなどして
ジャンボタニシの流入を防ぐことで
土壌のバランスとともに
食味の向上にも気を配り栽培しています。
続く
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