自然栽培4つの段取り③2/2 美味しいお米の育てかた#028
前回の3rdStage 環境整備の続きです。
緑肥をクリーニングクロップとして使う
畑でクリーニングクロップを栽培する場合
単一の品種では土壌のバランスに偏りが生じてし まうのではないかという意見もあり、多品種を混ぜて栽培する方法もあります。
これらの工夫は現場の栽培者の様々な取り組みによって日進月歩を繰り返し
さまざまなアイディアが生み出されています。
なぜ草ではなくクリーニングクロップを使用するのかですが
理由としては、根の細かさや多さによる代謝力が高い点が挙げられます。
また、土壌のバランスのムラを解消することもできます。
もちろん草で解消することも可能ですが時間がかかる上
草の種類によっては、栽培に適した柔らかく温かい土壌ではなく
土を固めて草原のような性質を目指す性質のものも含まれます。
通常、更地には草が生え、そのあとには木が生えてきます。
そして徐々に林となり、森になっていくのが自然の植生です。
ですから、人間が食べるための、比較的根の柔らかい植物に適した土壌は
人間が介在し栽培を継続すること以外で、その状態を保持することは難しいでしょう。
栽培に適した土壌と草原の土壌では
性質やその役割が違うということからも
意図的にクリーニングクロップとしてイネ科やマメ科を栽培することで
食用植物の栽培に適した自活力のある土壌を育てていくことが出来ると考えています。
マメ科は上手に使う
また、マメ科の中には強く直線的な根が地中に伸びていくものもあり、それらは固い層をほぐしていくことを狙って栽培することもあります。
マメ科はその一方で、大気中の窒素を土中に固定する窒素固定力を持っています。
そのため、頻繁に使用すると植物の代謝を促進する要素が過多となって
栽培植物の根が伸びず枝葉は大きく育ち、雨風で倒れやすくなったり
大豆連作の場合はうまく実が入らなくなったりします。
また、虫や菌の影響も受けやすくなることもありますので
マメ科の使用は栽培圃場の環境を見極めてうまく利用する必要があります。
果樹から知る気候適性
果樹に関しては種類によっては
もともと田んぼだったところに果樹を植えても、うまく育たない傾向があり
また、新しく造成した場所なども土質の相性によっては育ちにくいところがあります。
元来、果樹があったり、雑木林があったりする場所は
比較的、育ちやすい傾向がありますが
リンゴのような広葉樹か
ミカンのような常緑樹なのか
ブドウやキウイのような蔓性果樹なのかでも適する土壌や場所は変わってきます。
特に果樹は日照や風にも影響を受けやすい植物です。
また、土質や気候は、美味しさの品質に大きく影響を与えるため
畑の野菜もそうですが、それぞれの果樹の原産地の気候と
栽培する場所の気候の違いを知っておくことが大切です。
実際に、日本で栽培の難しいとされるリンゴ でも
ヨーロッパやアメリカでは
日本における柿のように農薬も必要とせずとも庭先で なっていたりもします。
果樹は栽培環境の影響が他の野菜などに比べてデリケートであるとされています。
また、苗木も
・台木に自分で接いだもの
・タネから実生で育てたもの
・一般に市販されているもの
それぞれ違いがあり、どのような土壌で育ったかによっても
生育が変わってきます。
一般的に幼木のうちは周りの草の影響を受けやすいため
こまめに草を刈ったり、倒したりして生育の妨げにならないようにします。
環境改善にはじっくり取り組む
畑の場合、期間に関しては過去の施肥の履歴によるところが大きく
2,3年で解消しない場合もあります。
定期的にイネ科を栽培して
麦わらも新たな腐植の材料となるよう土中に戻します。
三歩あるいて二歩さがるようにじっくり取り組むほうが
スムースに土壌環境が変化していきます。
家庭菜園では一部から実施し
経営栽培では実験目的ということで
別に面積を借りて実施するなど、
経営リスクを軽減しながら行うほうが無難でしょう。
続けられなくなっては元も子もありませんので
無茶をせず少しずつ手応えと共に進めていくことをお勧めします。
続く
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