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実践タネ籾の選別 美味しいお米の育てかた#012
いよいよ具体的なタネ籾の選別についてです。
やることは簡単。
生命力が溢れる、元気なタネ籾を選りすぐればバッチリです!
ではどうやって?
その前に脱芒と選別のアイテムを用意しましょう。
脱芒する
タネ籾を蒔きやすくするために、枝や毛を除去する作業は脱芒と呼ばれています。
〈手で揉む〉
タネ籾を袋に入れて手で揉みます。力加減が難しいですが少量ならこれでも可能です。風で飛ばしながら何度か繰り返します。タネ籾が傷つかないようにします。
〈機械脱芒〉
機械を調整して脱芒します。量がある場合は重宝します。
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水をためる大きめのバケツにそれにすっぽり入るタネ籾が落ちないカゴが必要です。
こんなイメージ。
カゴはタネ籾が落ちなければなんでも大丈夫。
タネ籾の選別
ポイントは重さと大きさ。
重いタネ籾、大きいタネ籾は元気ということを覚えておくと良いです。
また、うるち米ともち米で重さが変わります。
〈水選別〉
カゴにタネ籾を入れ、水を溜めたバケツにじゃぽん。かき混ぜて浮いてきた籾を取り去り、沈んだ籾をネット袋に移せば完了。水に浸しておきます。
メリット:簡単
デメリット:大して選別されない
〈塩水選別〉
水に塩を加え卵が浮くくらいの水を作ります。几帳面な人は数値を測りますが、だいたいでも問題ありません。塩の分量でが多いとたくさん浮いてきます。
メリット:水選別に比べて厳選される
デメリット: 洗い落とす必要がある・塩水の廃棄に困る・高濃度の塩水にさらされる違和感
〈泥水選別〉
田んぼの泥をネット袋に入れ水の中で濾します。土質にもよりますが細かい泥は沈澱するのでかき混ぜながら、卵が浮くくらいの量を入れます。
メリット: 処理が楽・菌場が多様化する
デメリット: 塩水選別と同等程度
以上が比重による選別方法です。選別具合はどちらかと言えば緩いです。
特筆すべきは菌場の多様化です。泥の中に入ることであらゆる菌や微生物にさらされる。これによりある特定の菌が繁殖するのを防ぐ狙いがあります。
こちらは次項で詳しくお話しします!
次は大きさによる選別方法です。
〈機械選別〉
2.2mmや2.3mmと選別網があり、そこを通過しないタネ籾が残ります。機械によっては脱芒という枝や毛を取る機能がセットになっています。
メリット: 網を大きくすると1/4くらいに厳選・お米ひと粒が大きくなるため必然的に収量がアップする
デメリット: 厳選されるためタネ籾の量が必要・タネ籾を覆う細かい毛も取れてしまうため気温変化に注意、できれば早めに浸水する・機械がそれなりの価格
プロは機械選別です。面積にもよりますがそのシーズンの収穫で充分もとが取れます。
以下の選別機がおすすめです。購入は自己責任ですが、持っていない中小規模営農者は今すぐ買いましょう。
私の場合は、塩水で数年試していましたがデメリットを感じていたことなどもあり、機械選別に切り替えたところ、苗の生育も安定し、収量も2、3割増しになりました。
〈自前網選別〉
機械選別と要領は同じですが、網を自分を用意し地道に振って選別しても良いと思います。網が詰まったりしてなかなか大変かも知れませんが。
オフグリッド志向の手動タネ籾選別機などもあれば小規模の場合は良いかもしれません。
ここまでがタネ籾の選別ですが、この後に一般的にはタネ籾消毒という行程があります。
通称、バカ苗病
お米にバカとか言ってはバチが当たりそうですが、誰が名づけたかわかないユニークな通称です。
次回はこれに関して詳しくお話しします。
続く
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