有機栽培はまだやるな!の衝撃 美味しいお米の育てかた#003
お米が重くて嫌いだった僕が出会ったのは
おかわりができるお米。
その栽培プロセスは自然栽培と呼ばれるものでした。
2000年代も後半に差し掛かったころ、僕に自然栽培のお米を体験させてくれた農家さんの奥様Eさんが、
自然栽培の勉強会を教えてくれました。
ちなみにはEさんは当時NHKのプロフェッショナル仕事の流儀に出て有名になっていた自然栽培りんごの生産者、木村秋則さんの書籍などをアイディアに自然栽培にチャレンジしていました。
この本から自然栽培が広まっていったと言っても過言ではありません。日本の農業史に風穴を開けたのは紛れもなくこの本。
しかし僕は当時生産者ではなかったので内容はよくわからないところもありました。
約8年後自分でも自然栽培のりんごを栽培していようとはこの時は予想もつきませんでしたが。
早速、勉強会に申し込むべくホームページにアクセスした先は、主催するN社という自然栽培専門宅配の流通会社でした。
N社のホームページをのぞいてみると、自然栽培と有機栽培の比較などの内容が。
特に目を引いたのは
「有機栽培はまだやるな!」
でした。
うおーなかなか刺激的。
HPテンプレもない時代。手づくり感満載のホームページに妙にリアリティを感じる。
全体的にめちゃくちゃコンセプトをとんがらせて言いたいことを言ってる会社だと感じました。
それゆえに、だいぶ胡散臭い雰囲気を感じずにはいられない。
しかし、内容はたしかに共感できる部分がありました。
有機栽培は危険とまではいかなくとも、最上の選択ではないと。
僕もこれには同感でした。
福島県内でも有名な有機栽培農家に卸してもらっていた野菜たちはとにかく鮮度が低い傾向がありました。
到着後数日で、ダメになり売り物にならないケースが続いたことがありました。
また、有機栽培の畑にまだ分解されていない糞やオカラなどをまいている生産現場の臭いといったらありません。
その上、足を踏み入れるとハエなどが大量に舞って、本当に居心地が最悪で早く出たくなる。
そんな畑もたくさん見てきていました。
そんなところで育っている植物を認証をとっているからと言って、最良の選択として販売することが正解なのか?
そんな疑問を持っていた時期でした。
また、N社のホームページには重度のアトピーを自然栽培の食事で克服した、といった記事もありました。
このような記事をあげていた会社は少なくないのですが、その体験談はかなり生々しく
「医者にも薬にも頼らない」
という考えから、食事で克服したというストーリーが綴られていました。
当時、このN社の代表が書いた本が販売されていました。
そのタイトルは
「自然の野菜は腐らない」
もうね、繰り出されるキャッチコピーがとにかく全部攻めてる。
興味があれば気になるに決まってます。
表紙も素朴で味がある。どうやら自然栽培りんごの木村秋則さんに関係があるらしい。
著者は株式会社ナチュラル・ハーモニーの河名秀郎さん。
その本には河名さんが考える自然栽培の概念や実例が書かれており、世の中の常識が本当に正しいのかを食や農を通して語られていました。
それは次なるブレイクスルーを探していた僕にとって可能性のかたまりに映りました。
常識の真逆をいく姿勢に僕のパンク魂がくすぐられない訳がありません。
自然栽培はただの農業の一形態を超えたおもしろい世界かもしれない。
僕がお米を食べて感じたあの満足度、透明感の正体が見つかるかもしれない。
そんな期待が湧いてきていました。
ただ、いろんな農業系のセミナーのお決まりパターンは、セミナーな最後に、
「いつもは100万円のこの液体がなんと今日は10万です!」
みたいな参加者限定の特別販売商法。
これが出たら残念ながら深掘りはやめよう。そう決めていました。
こんなふうにいろんな前情報や自分の想像にドキドキしながらも勉強会当日、
僕は千葉県に向かいました。
続く