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育苗の種類 美味しいお米の育てかた#015

夏も本番ですがいかがお過ごしでしょうか。

皆さんはきっと愛しい田んぼで

ほどよく涼を感じているのではないでしょうか?


このシーズンの農作業は早朝から11時まで。

あとは夕方17時以降から日暮までです。

くれぐれもお昼にやらないように。

サラリーマンから就農した人とか平気でお昼やって倒れてますのでご注意を!


本シリーズではそのタネの生命力を活かす栽培。

自然本来の力を活かす栽培として自然栽培を紐解いています。

さていよいよ苗床の準備ですがその前にまず

どんなスタイルで育苗するのかを決めます。



苗床の選択


タネ籾の蒔き方は様々なやり方があります。

ここではその一部を紹介します。

マット苗とポット苗の選択の違い

ここから育苗は

マット苗

という一般的な様式

ポット苗

という2通りの様式を選択することになります。

①マット苗について

日本の稲作において大きなシェアを獲得しているマット苗という様式

平たい苗箱に育苗土を敷き、約100g~200g程度のタネ籾を蒔きます。

一般的には、根を張るためのマットを土の代わりにひきますが、ここでは土を入れるタイプもマット苗と呼びます。

苗の大きさが2葉程度の大きさのことを「稚苗」といい、その大きさで田植えを行います。

マット苗でも自然栽培は十分可能です。


②ポット苗について

一方、ポット様式の場合は一箱に448つの ポット穴があり

タネ籾を1~4粒程度、約40g~80g程度を蒔いていきます。


ポット苗の場合はポットの下に十字の穴が開いており

成長した根がその穴から、設置してある苗代そのものの土壌へと伸びていきます。


この辺りは現物を見ながらお話ししたほうがわかりやすいので

詳しくは講座にエントリーいただければと思います。


メリットとデメリット


かいつまんで説明すると

ポットの方が根が土中に入ってい くため根のスペースが明らかに広いです。

そのため、ポット苗は4葉~4.5葉程度の大きさの

いわゆる「成苗」に成長することができます。


ポット成苗はマット稚苗に比べて、

田植え後に田んぼに根を張る活着の早さ

除草回数の軽減

分げつの旺盛さ

などのメリットがありますが、

マット苗に比べて

約2倍ほどの苗箱数 を用意しなければなりません。

また、ポット田植え機の構造の複雑さ

田植え時のトラブル になりやすい原因でもあります。

ポット苗の主なコンセプトは

「大きな強い苗」です。

この大きな苗はマットの稚苗に比べ、

ジャンボタニシが出現する温暖な地域でも、田植え後に餌食になりにくいなど、

田植え後の管理のしやすさがあります。


一方で大規模経営などには苗箱数が少なくて済むマット苗を採用している栽培者が多いです。

それぞれの栽培規模や栽培コンセプトに合わせて選択すると良いでしょう。


マット苗の箱

ポット苗の箱



苗を育てるステージの選択


マット苗の場合のスタンダードな方法

ハウスの中でビニールシートを敷き、そこに並べて水に浸します。根は育苗箱の中に集中します。

畑のように育てる方法

畑のような乾田を整地し3cm間隔ほどの穴をあけ て直接地面に穴を開けて蒔く方法など、あまり機械に頼らないやり方もあります。

また、代表的な方法を3選挙げます。

①そのまま乾田にて育苗する乾田苗代

②田んぼのように泥の状態にしてタネ籾を蒔き育苗する水苗代

③乾田から水田にする折衷苗代

などがあります。


乾田苗代

乾田苗代では、陸地に適応した根が伸びるため、

そこから移動させ水田に植えられた場合はその根が枯れ、

田んぼに適した根に生え変わるタイムログが生じます。

しかし、除草などをこまめにすれば大きな苗に育ちます。


水苗代

水苗代の場合は最初から水辺で育つため適応した根が育ち

田植え時も田んぼに根付くのが早い特徴があります。


折衷苗代

発芽までは乾田で発芽後から水田という方法になります。

この場合は土質を考慮しなければなりません。

粘土質の場合、水をきった乾田は非常に硬くなります。

そうすると幼苗の弱い根では土中 深くに入っていけず、成苗まで育つのにはストレスになり、生育不全に陥るケースもあります。

あまり固まらない砂地や山地のような土質であれ ば、適応する可能性が高いでしょう。


おすすめは水苗代でポット育苗


ここでは、ポット育苗を水苗代で行う方法を 前提に紹介します。

この方法を採用する理由は、 強く健康的な苗に育つことに加え

水苗代から田んぼという環境変化の小ささから

田植え時にも根付くのが早く、そのあとの除草作業にスムースに移行できるメリッ トがあります。

様々な育苗方法を試した結果、これが苗に余計なストレスを与えず

心地よさを重視することで、タネの生命力を発揮させ

強靭な苗を育てることができる方法という結論に至りました。


というわけで次回はいよいよ水苗代の整備に入っていきます。


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