#63. 今に感謝し、今を生きる
「もっとこうだったらいいのに」
「あれがあればなぁ」
人はつい手に入っていないものや足りないものに目が行ってしまうものである。
もちろん、夢や目標を持つことは素晴らしいし、
毎日の生活を少しでも良くしたいと思うのは前向きで大切なことだ。
しかし、時には「今、この瞬間」に目を向け、すでに手の中にあるものを見つめることが、充実した生活を送る上で大切なのではないだろうか。
今、手の中にあるもの
たとえば、毎日当たり前のように使っているスマートフォン。通勤や通学中に手に取り、ニュースを読んだり友人とメッセージを交わしたり、さっと電話をかけたりしているだろう。
このスマホがあるおかげで、遠くに住む家族や友人と気軽に連絡を取れるし、急な予定変更にもすぐに対応できる。しかし、もしスマホがなかったらどうなるか。会いたい人にすぐメッセージを送ることもできず、遠くにいる家族とのつながりも、今ほど簡単には保てないだろう。
そして、このスマホを持つためには当然お金が必要である。そのお金を得るには働かなければならず、働くためには健康な体が必要だ。
体調を崩せば、思うように働けないこともあるだろう。
だからこそ、今この瞬間に健康で働ける体があること、そしてその健康を支える環境や職場、自分の居場所があることにも、感謝の気持ちを持っていたい。
「最近、自分の体に感謝したことがあるのだろうか?」と自問すると、
毎日元気に動いて、食事を楽しみ、笑い合えることの幸せに気づく。
こうして「当たり前」に思っていることが、実はとても貴重でありがたいものだとわかると、
自然と心が豊かになるもの。
他にも、
当たり前に感じることがたくさんある。
身近な水と電気
たとえば、水道水。
蛇口をひねればすぐにきれいな水が出てくるが、もしこれがなければ、毎日の料理やシャワー、洗濯も思うようにできないだろう。
この水も、地域のインフラやその維持に携わる多くの人々のおかげで届いているのだ。
私たちは日常の中で、そんな人々の支えを受けながら生活している。
また、電気も同じだ。
夜になれば自然と部屋を照らしてくれる電灯や、季節に応じて快適な温度に保ってくれるエアコン。これも電気があってこその快適さであり、供給してくれる人々がいるからこそ成り立っている。
停電でもしない限り、電気のありがたさには気づきにくいが、毎日の便利な生活が当たり前に続くのは、その見えない支えがあるからである。
「毎日を幸せに生きる秘訣は、今に満足し、今あるものに感謝することだ」とよく言われる。
目の前にあるものを大切にし、「今、この瞬間」にある幸せを感じられるとき、心の中に深い満足感が広がるのだろう。
今日は、元気に動ける自分の体に感謝し、日々の生活に意識を向けてみたい。
そして、頑張った自分を、他者をいたわり大切に思いながら声をかけるように、優しく褒めてあげたい。
最近、秋の味覚を満喫しすぎて思いのほか体重が増えたが、
そうした変化も含めて今が幸せであると実感したい。
「今」に目を向けると見えてくるもの
時には、ふと立ち止まってみる。周りを見回して、日々の生活の中で見過ごしているものに気づく。
毎日見ている景色、そばにいる家族や友人、何気なく手にするもの──
それらすべてが、じつはかけがえのないもので、私たちを一生懸命支えてくれている。
人は皆、それぞれの「今」を持っている。
どんな状況であっても、きっとその中に小さな幸せが潜んでいる。そこに目を向け、手の中にあるものを大切にしてみようと思う。
そうすれば、私たちの毎日は少しずつ輝いていく。
「人生は思い通りにいかないことも多い。
だけど、それでも、私たちには『今』がある。」
その今を味わい、そこに感謝する心を忘れなければ、
きっと日常はもっと豊かに、もっと幸せに満ちていく。
今日もまた、そんな小さな喜びを見つけながら、一日を大切に生きたい。