#15. 大好きな友達が教えてくれたこと
自己肯定感って…なんだ?
「自己肯定感」——最近、この言葉を耳にする機会が増えた。でも、その意味を何度調べても、頭に残らずに消えてしまう。まるでその言葉だけが独り歩きして、ふわふわと私の中を漂っているような感じだ。
先日、ふと気になってもう一度調べ直してみた。
「自己肯定感とは、ありのままの自分を受け入れ、他人と比べずに自分自身を尊重し、認める感覚。それが前に進むための力となる。」
なるほど。けれど、そんな自己肯定感なんて、私には昔から無縁だった気がする。いつも自分を責め、他人と比べては焦り、不安を抱えていたから。
彼女の存在と、気付かされた言葉の意味
私が初めてこの言葉を知ったのは、高校1年の春。仲の良かった友人から、突然メールが届いた。「Kにどうしても読んでほしい本を見つけたから、プレゼントで送るね!」と書かれていた。彼女は小学校からずっと一緒に過ごしてきた友達で、私とは対照的にいつも明るく、クラスの中心にいるような存在だった。運動神経も抜群で、周りからも愛される彼女。私はいつもその彼女に憧れていた。
一方の私は、いつも何かに悩んでばかりで、自分に自信を持てない日々を送っていた。だからこそ、彼女の存在は私にとって大きかった。彼女の言葉や笑顔に、何度救われたか分からない。
そんな彼女が、私に本を贈ってくれると言ったとき、少し驚いた。普段、本なんて読まない彼女がわざわざ私のためにと選んでくれたことが、私にとっては何よりも嬉しかった。数日後、手元に届いたその本は「自己肯定感」に関するものだった。
「私、そんなに自己肯定感が低いと思われてたんだ…」そう感じた瞬間、少しだけ恥ずかしくなった。そして、彼女に感謝のメールを送ると、返ってきたのはこんな言葉だった。「Kはもっと自信を持った方がいいよ!自分を信じた方が、人生もっと楽しくなるから!」彼女のその言葉に、胸がじんわりと熱くなった。
振り返ってみると、その頃の私は、自己肯定感がほぼゼロに近かった。
自分の欠点ばかりに目が行き、何かにつけて他人と自分を比べては、焦りと不安に苛まれていた。それでも、そんな自分を責めながらも、どこかで「変わらなければ」と思い続けていた。
じゃあ、今の私はどうだろう?残念ながら、自己肯定感はまだ高くない。自分の短所が目につけばすぐに落ち込むし、他人と自分を比べてしまうことも、昔と変わらない。けれど、自己肯定感が低かったからこそ得られたものもあった。
自信のなさがプラスになったとき
例えば、自分の弱点に気づいた時。それを無視するのではなく、真剣に向き合ってどうすれば改善できるか考え、努力するようになった。新しい挑戦や未知の領域に足を踏み入れる時には、恐怖や不安がつきまとう。それでも、その不安こそが私を突き動かすエネルギーになっていた。
気づいたのは、自己肯定感を無理に高めようとしても、そこに本当の自信は生まれないということ。だから、無理に自己肯定感を高めようとするのはやめた。不安や自信のなさを克服しなければいけない、なんて思うこともやめた。不安があるからこそ、私には考える力がうまれたし、前に進む力があるんだと気づいたから。
今思う、これからのこと
自己肯定感が低い自分を否定するのではなく、そのままの自分を受け入れて、前に進んでいく。完璧じゃなくても、少しずつでも歩みを止めずに進むことができる。それが、私にとっての自己肯定感なんだと今は思う。
私を支え、背中を押してくれた彼女の存在が今も眩しいし、不安や弱さと向き合いながらもなんとか進んできた自分もよくやった、と思う。
その気持ちがきっと私にとっての「生きる力」に繋がっていく。
No.15