おすすめの本たち
ネットに小説を投稿していながら、あまり自分が読んだ本について話したことがなかったので、たまにはいくつか普段読んでいる小説を紹介しようと思います
「いたいのいたいのとんでゆけ」三秋縋
自分が生きていく糧だった進藤を失った主人公は、親友の言葉のとおりに文通を再開しようとするも飲酒運転事故を起こしてしまう。そこから巻き込まれた「なかったこと」にされる数日間の復讐劇。そして最後に語られる驚愕の真実とは。凄惨なシーンを特有の描写でその場にいるかのように感じてしまうほどの描写と、所々で語られる過去がより物語の悲しみを助長させます。深く這い上がれそうにもない落とし穴にハマった人が幸せを掴む、元気の出る物語です。
「ツインスター・サイクロン・ランナウェイ」 小川 一水
人類が宇宙に広がってからさらに数千年後、とある事情で女同士で漁に出る二人のSF作品。元が短編作品だったとは思えないほど作りこまれた世界観と想像力を掻き立てられる多様な描写、そして今も未来も変わらぬ人間の争いや醜さとやさしさが美しいです。私としてはダイがかわいくて好きですね
「海辺のカフェで謎解きを ~マーフィーの幸せの法則~」 悠木シュン
キッチン・マホロバの料理担当の兄と手伝いの主人公のもとに、お客さんが持ち込んだ謎を解くという一風変わった作品。そして作品の節々でキーフレーズとして用いられるマーフィーの法則が頭から離れなくなります。福岡県糸島をモデルとした作品ということで、今の一人暮らし先から近いので、いつか行ってみたいですね。
「夜が明けたら、いちばんに君に会いにいく」 汐見 夏衛
過去のとある経験から優等生を演じようとする茜は、何時しかマスクが外せなくなる。そんな彼女に対していつも自分勝手に過ごしている青磁は嫌いだと言い放つ。そんな二人の関係を変える事件が起こる。
まさに現代の中高生の多くが抱えている悩みの一つを鮮明に描いた作品で心を打たれました。私の場合は青磁に近いのかもしれませんが。
「七つの会議」 池井戸潤
とある会社の不正問題を様々な視点で描く秀逸な作品。その中で明かされる人事の理由や過去の同様の不正問題、そしてスーツ姿の男たちの戦いが苛烈に描かれています。現代の企業が抱える問題を多様な視点から描き出すことでエンタメとしても良質な作品だと思います。
「キップをなくして」池澤夏樹
改札を出ようとしたら切符がないことに気がついた少年。そんな切符をなくした少年少女たちが生活する場所に連れて行かれて…。子供の頃に想像を掻き立てられてから、なにかあるたびに読んでいる子供心がくすぐられる作品です。
「五年三組リョウタ組」石田衣良
教師生活四年目の若手教師リョウタ先生が五年三組の様々な問題に愚直な姿勢で解決させていく物語。子供の可能性を全力で信じて現代の様々な問題に立ち向かう姿が勇気づけてくれる作品です。今なにかつらいことを抱えている人や、お子さんを育てている人にぜひ読んでいただきたい一冊です。
「こころ」夏目漱石
現代社会、資本主義の根底のエゴイズムの過ちを正面から描いた漱石後期三部作の一作品です。前半で節々から感じられる先生の罪悪感や悲しみと、後半で赤裸々に語られる利己主義に振り回された半生と永遠につきまとうKの影。現代を生きる上で忘れてはならないエゴの危険性を再認識させられます。
「人間失格」太宰治
人間失格 たった四文字に込められた主人公の生き様。沢山の人と出会いながら、だんだんと崩れていく日常。その中でも、ピエロを演じて周囲を笑わせようとするその姿に、ふと自分を重ねてしまいそうになります。ありありと描かれる心情と壊れていく人間性が感情を揺さぶる作品です。
この辺が私が個人的に面白いと思った作品ですね。他にもシャーロック・ホームズや名探偵ポワロ、刑事コロンボなどのミステリーや芥川龍之介の短編集、池袋ウエストゲートパークもお気に入りですが、一作品に絞り込めないので今回は控えました。
まだまだ紹介したい作品や作者さんはいますが、今回はこのあたりにしようと思います。好評でしたらまた続きを書きますね。それではまたどこかで