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ドキュメンタリー『おにい~筋ジスになって絶望はないの?機能不全家族の妹が問う〜』あとがき 8年公開できなかった事情

監督のKomedaです。
ここではドキュメンタリー『おにい~筋ジスになって絶望はないの?機能不全家族の妹が問う〜』のあとがきを掲載しています。

~INTRODUCTION~
筋肉が減少・壊死していく指定難病“筋ジストロフィー”
日本の患者数は約25,400人

これは、機能不全家族の妹が兄のまっすぐな生き方を描いた、命のドキュメンタリー

妹は兄に問う「悲観することはないの?絶望はないの?自殺を考えたことは?」
身内だからこその鋭い切り口でインタビューする。
兄は体の苦痛を訴えることはあっても、人生に悲観したような発言は一切無い。
「病気を言い訳にしない」、「生きているだけで丸儲け」と明るく話すが

障がい者と健常者の狭間にいる「中途半端さ」
見た目が「ふつう」というプレッシャーを抱えていた。

生きづらくとも…兄はひたむきに生きる。

彼の生きようとする力は
まっすぐで、あまりにも強かった。

予告編


あとがきにはこの作品で伝えたいこと、8年以上も作品を一切公開できなかった理由や公開に至った経緯と今後の思いを記しています。

見る人によっては作品の印象に影響したり見苦しいところもあるかもしれません。何卒ご了承の上でご覧ください。

🔴機能不全家族についての表現があります。具体的に言われたこと・されたことを書いていますのでフラッシュバックのトリガーになる可能性があります。体調が優れない方やセンシティブな方はご注意ください。

🔴主人公 おにいについて、機能不全家族の面を詳細に記しています。本編の印象からギャップを感じるかもしれませんので、本編のままの印象を保ちたい方は閲覧しないことをおすすめします。

🔴誤解がないように補足。
身体/精神障害者が家族にいることが全て機能不全家族になる訳ではありません。
家族のカタチも人間のカタチもそれぞれです。障害者であることが、性格や家族を必ず歪ませる原因ではありません。




はじめに

『おにい』のオリジナル版(学生作品)の公開は2014年。
当時は受賞やテレビ放送などをしていただきました。

その後、8年以上一切公開されず人目に触れないよう封印されたのですが、ここでは公開に至った経緯と、私の葛藤や成長について記したいと思います。

・・・

本作はふつうに生きることに悩める全ての人のために制作しました。

社会には「ふつう」という重圧があり、それに苦しんでいる人が現代にはたくさんいると痛感しています。
私もその中の一人です。

私と家族は義絶しています。

なぜ義絶してるのに作品を公開するのかをよく聞かれるので、その点についても書きたいと思います。

平たく言うと、
他人になったからこそ、「おにい」の強さも弱さも含んだ生きる力を率直に感じました。

なによりも、筋ジストロフィーという重病を背負った人間が身内だったので、障がい者の抱える社会・私生活の課題はとても身近であり、知ったからには知らんぷりできない問題だと感じたのです。

そして、私が経験した機能不全家族…劣悪な家庭環境によって苦しんでいる人のことも課題感を感じています。

余計なお世話かもしれませんが…こうして発信することと作品を通して誰かの糧になればと願って、公開に至りました。

補足)
家族構成…父、母、姉、兄、私
備考…姉は精神疾患や自●未遂など。
父と兄は衝突が多く、不干渉でありながら依存心が強かった印象。
私は料理などの家のことを積極的にしたり、母の精神面のケアも担ったり、していました。

名前のない家事、という言葉がありますね。
家族ケアにも名前のあるケアと名前のないケアがあります。

ただ、母や兄をはじめ家族からは「家のことはお前が勝手にやってた(妹がやりたくて)だろう。家族のせいにするな」と言われましたので、見方を変えれば、わたしは私の居場所を作りたいがために自己犠牲的に家族に奉仕していたのかもしれません。

辛い思いをすればするほど、やってる感を感じるというか。
生き心地がするというか。

最終的に家庭崩壊するのですが、今回は割愛します。
いつか別の記事で紹介できればと思います。



家族からの評価

これまで一切公開できなかった理由は2つあります。

まず1つめ…
受賞やテレビ放送を通して家族の評価について。

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