シードルとポワレ
香りのニュアンスは 発酵 からうまれる
【まとめ】
・ 平川ワイナリーのシードル
・ シードルに使う果実の収穫について
・ シードルのポイントは、白ワインと同じ。
・ シードルができるまで
● 平川ワイナリーのシードル
平川ワイナリーのシードルは ①ふじ ②ハックナイン ③昇林 で構成。①ふじは、上品さと酸味 ②ハックナインは、ジューシーと爽やかさ ③昇林は、フルーティな余韻を与える。りんごの産地は、余市町沢町。洋ナシは、余市町豊丘。(沢町と豊丘 町の間は3kmの距離)
● シードルに使う果実の収穫について
ぶどう は、10月から11月にかけて収穫する。北海道は雪のリスクがあるため、樹上で完熟のようなリスクは負いにくい。またシードルの香りのニュア ンスはほとんどが醗酵由来なので、ハックナイン、昴林は遅摘みにする必要はないと考えている。ただ、青茂ぎは糖が少なく、青臭い原因になる。 一方でふじは、収穫直後はでんぷん質が多いようであり、追熟させ、酵素の影響で糖質に分解し、甘さが増してから仕込みに入る。収穫後3週間以 上は待つことがある。
● シードルのポイントは、白ワインと同じ。
・ いい果汁を取るか / いい熟成ができるか にかかっている。
果実を ジューサー(すりおろし式搾汁機)によって瞬時に搾るのがポイント。手作業で機械にリンゴを入れ、高速回転させてすりおろす。果汁と固体(か す)に分け、果汁は別のタンクに移動し、その後デブルヴァージュの 工程に入る(澱を沈降させる)。
底面の澱と、上面の灰汁(アミノ酸・タンパク質)を取り除く。(上面の灰汁は、膜になって酸化を防止させる効 果がある。) 何度か澱引きをして、3週間ぐらいをかけて、発酵の工程に入る。
アルコール発酵(1次醗酵)の工程では、補糖を行わない。ここで、糖がアル コールにうまく変化するかがPOINT。糖が残ると、最後の余韻が甘くなる。この発酵のバランスが、ミネラル感につながる。瓶詰め前 に泡を得るための補糖を行い、瓶内でアルコール発酵(2次醗酵)を行って、自然の泡を閉じ込める。微炭酸であることで果実の風味が生かされると考えている。
※ シードルの最後の甘みの余韻について
日本は加 熱処理を行ってアルコール醗酵をストップさせる。加熱処理を行わなければ、辛口のシードルとなる。海外は糖度の高いリンゴを使ってアルコール 醗酵を完結させない等、工程の違いはある。
※ 気候の温暖化がもたらす影響について
最近は、気候の温暖化により、糖度の高い果実ができやすく、ミネラル感を追及するのが難しくなってきている。
● シー-ドルができるまで
・ ミッシェル・ブラス・トーヤ・ジャポン
そこで、余市ケルナーに対する品質に感動した(この価格でこの品質)
その時、ソムリエだけではない、もう一度ワインの醸造家に戻ろうと決意した
妻がいて、、、は補足
・ 藤代さんのはたけ
北海道ワインに履歴書を送り、島村社長との縁で、1年目:鶴沼、2年目:企業と共同研究、3年目:余市で働く。そのとき、北海道の畑のなかでNO1の畑があることを知った。それが藤城さんの畑。南向きで、土壌腐植度が高く、肥沃で真黒な土地。藤城氏は北海道で初めて本格的な醸造用ブドウ栽 培に携わった方のうちのひとり。2014年に嶌村社長と共に藤城さん宅にお伺いしたとき、91歳で体力の限界とのお話があり、北海道ワインが 引き継ぐことになった。ただ、株式会社が農地を取得できない、そこで平川ファーム設立に至る。 引き継いだときのブドウ樹の状態は芳しくなかったが、作物の生育は優れ、果樹のできが非常に良かった。畑が持つポテンシャルを実感し、余市最 高峰のテロワールだと確信した。(畑のポテンシャルが高いとは、品質と収量。)
※ 豆知識
葡萄の苗木は注文してから2年かかる(枝→保木→枝と根を繋ぐ<苗会社>)
●おさらい
香りのニュアンスは “発酵” からうまれる
(果実由来ではない)
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