自分を表現するファッション
私は青春といわれる時期を全て宝塚の男役として過ごしてきた。
しかし、本来は普通の女の子であり、そう簡単には男役になれなかった。
そもそもわたしは身長も男役にしては低く、
背の高い王子様のようなすらっとした男役さんが沢山いる中で、わたしのような背の低い男役が目立つには目を引く何かが必要だったのだ。
そんなわたしのコンプレックスを救ってくれたのはファッションだった。
女性らしい体型を隠すために肩パッドを入れたり、胸が目立たないようにくびれの目立たないジャケットを羽織る。
長い休みには必ずパリ、イギリス、韓国のような個性的な服が売られている国で服を買いに行き、ファッションショーなどからトレンドを学び、
今までの宝塚にはない新たな男ファッションを表現するために、とにかく無我夢中でファッションを学んだ。
STORYwebにも書いたように、
スタイリストの祐真朋樹さんが私のファッションへの想いに火をつけた方だ。
斬新でありながらもトレンドを織りまぜながら、人がワクワクするようなスタイリングを見出す彼の魅力は、刺激的であり素晴らしく、お会いするたびに頂く言葉を心に刻んだ。
それからの私は、
もっと自由でよかった。
わたしにももっと可能性があるんだ。
そんな勇気が沸き上がり、
新しい服を着るたびに自分が強くなれたり、辛い時もファッションがわたしの背中を押してくれた。
ファッションをいつまでも追求し続けたい。
ファッションで自分を表現したい
そんな情熱をもつようになった私は、
毎日の楽屋の入り待ち出待ちはパリコレのファッションショーのような気分で歩き、ポートレートの服装も今までの宝塚にない服に挑戦していき、自分を表現することの楽しさが湧き上がるようになった。
今なかなかおしゃれをして出かける機会がすくなくなった。
人とも会えることが当たり前ではなく、貴重な時間になっている。
でも、だからこそ、ファッションはこんな鬱々とした日々を変えるとても大切な存在だと思う。
落ち込んでいる時、雨の日、大事な日など、とにかくシュチュエーションによって自分がどんな人間として映りたいかをイメージしながら服を選び、外出を楽しむ。
そして、自分だけでなく自分に会った方々にもパワーを循環させることができ、
会えてよかった
元気になった
と人と人の幸せが共鳴する。
今だからこそわたしはファッションのデザインをしてみたいという夢を強く持つようになっている。
そんな力がファッションにはあると
私は信じている。
く