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B2Bにおける成功事例(Case)の幻想
失敗の本質という名著がありまして。
穿った言い方をすると(これら失敗を回避したとしても戦争には勝てなかったであろうため、)ミクロな戦術レベルかつ後付け結果論ではあるのですが、こうした失敗分析こそ必要でして。もちろん分析だけじゃなくて、この失敗を防ぐための施策がね。
失敗を生み出す要因を一般化し、それを防ぐ。それも事例研究。
コンサルさんやツールベンダーさんとしては失敗事例よりも成功事例を見せるべき、となるのですが、B2Bマーケターならば他人の失敗例こそ一般化し、それを防ぐ仕組み・仕掛けをつくるべきでしょう。
先日、DMI(公益社団法人日本アドバタイザーズ協会デジタルマーケティング研究機構)にて発表した「GMT DMIモデル ver 1.0」なんかは、GTMにかかわる人たちの失敗を最小化するためのモデルです。この通りやったからと言って成功が保証されるわけではありませんが、「あからさまに失敗する」確率を減らすためのプランニングモデルです。
他社の成功事例は参考にすべきではない?
極論ではあるが、太平洋戦争後半で米軍がとったドクトリンは成功事例である。しかし当時の日本軍では取り得ないものだった。
強力なエンジン搭載機による高速の一撃離脱戦法
日本軍は2000馬力級エンジンの開発に苦労し大戦末期まで十分な性能のエンジンは開発・生産できなかった。
空母の量産による圧倒的な洋上制空権の確保
1944年は正規空母11隻、護衛空母51隻が就役。週1隻以上のペース。
飛び石作戦による島嶼防衛戦力の遊軍化
潜水艦による通商破壊作戦と補給不足による遊軍化
レーダーピケットによる早期警戒システム
高性能な防空レーダー搭載駆逐艦を機動部隊外縁に多数配置
VT信管と戦域防空システムによる高効率迎撃態勢
などなどミリオタが語るといろいろとあるのですが、要は「真似のできない成功事例より、失敗回避」を考えよう、ということです。
「そもそも論として毎週空母を作る国と正面から戦ってはいけない」という話ではあるのですが・・・。