「好きな本を紹介するプレゼン」の講義資料#6
スライドの用意ができて,評価表の準備もができたらいよいよ発表会です。
発表会の運営手順は#4の最後で紹介した通りです。繰り返しになりますがもう一度まとめます。
学生が来る前にスクリーン,プロジェクタ,PCを設置。ポインタとストップウォッチ,残り時間を知らせる紙なども準備する。マイクは使わなくても良い程度の大きすぎない教室を確保する。
学生が来たら,評価表を配布(枚数があるので多少時間がかかる)。
発表手順の説明。細かいことは評価表の冒頭に書いてあるので,そこをみながら聞いてもらう。特に,自分の番が近くなったら準備することと,発表の合間に評価表を書くこと,評価表を提出して帰ることの3点を伝達する。
発表。教員が座長とタイムキーパーを兼ねる。スライドの一枚目を表示してから発表者名と本のタイトルを言って時間計測を開始。
発表中は講演者の合図でスライドをめくることに集中。講演時間の残りが2分,1分のときに紙で講演者に時間を知らせる。
発表終了時に講演時間を記録。時間に余裕があれば質疑応答(というほど堅くなく,質問コーナーという感じ)に入る。1人5分の講演で5分きっちり使い切る学生は少なく,1分以上余ることが多いので,少し場をつなぐ。学生から質問が出ることはまれで,大抵私から一つ二つ関連することを聞く。
ありがとうございました,で次の発表に移る。以下繰り返し。
全員の発表が終わったら,今日聞いた発表の中で良かったと思うものに順位をつけ,評価表に記入する。その他,評価表に加えたいことなどがあれば書いてもらう。2回目の発表会の後は,全体を通した感想も書く(後述)。
評価表を回収して解散。撤収。
振り返りも,漠然と感想を求めるより項目を決めて書いてもらう方が得るものが多いかと思います。評価表と同じ用紙で,このような形で用意します。
私が今回決めたのは
スライド作成について
発表をやってみた感想
全体の感想
の3項目です。構えなくてもスライドは作れる,発表は終わってみたら大したことなかった,という感想を持ってもらえたらいいな,と思って講義をしていますが,戻ってくる感想がその通りというわけではないですね。自分で発表して,人のをみて,次はもう少し上手くやりたい,出来そう,という感想を残す学生が多かったように思います。
このプレゼンについての学習は,半期15回の講義のうち,準備と発表会で4,5回分使って行うので,100点満点のうちの30点分相当として評価に組み入れます。内訳は,スライド原稿チェック10点,プレゼン10点,評価表5点x 2で,まずは内容より取り組んだかどうか,遅刻せず実施できたかどうかだけを基準に点をつけます。時間不足(3分以内で終わってしまったとき)以外については発表の出来で加点も減点もしません。それは,発表会の最中は忙しすぎて全員に同じように採点ができないからです。その代わり,評価表は全員分をきっちり読みます。評価表を見ると,各学生がどのくらいの熱量で課題に取り組んだかはっきりわかります。熱心に取り組んだ学生は,全部◎をつけたりせず,足りないところは厳しく評価するし,良い発表と思ったものにはびっしり感想を書いてきます。ダメ出しする時も言葉を選んで改善点を指摘してきます。適当に取り組んだ学生は,めんどくさそうに評価項目に一律に全部○とかつけてきます。どちらの場合も,自分が当事者にもなるためか,記名しているからなのか,ひどく傷つけるようなコメントが来ることはありませんでした。YouTubeのコメント欄などより余程治安が良く建設的で毎年感心しました。あと,面白いのはランキングの集計です。1,2,3位を一つずつ,というルールを守っているもののみというフィルターはかけますが,1位3点2位2点3位1点として集計すると,ちゃんと良かった発表をピックアップできるのです。ランキングと私の印象が乖離したことは1回もなかったです。ということで,取り組み点に各種ボーナス(みんながやりたがらない最初の方での発表を引き受けたら+3点,評価表に1人ずつ違うコメントを書くなど,とても熱心に取り組んでいたら+3点,ランキング1,2,3位にそれぞれ+10,7,5点)を足して評価としていました。
このプレゼンの授業の学生へのフィードバックは究極のアナログ式です。採点の終わった評価表を揃えて裁断機で切って短冊の束にし,そのまま配ります。私からのコメントより,40枚の仲間からの評価のほうが余程身になるし,賞賛も批判も素直に入ってくるようです。その証拠に,これを配布した後,みんな熱心に読んでます。(欠点は私の手元に資料が残らないことくらいです。)
このフィードバックをやるときの事務的なコツは豆サイズのダブルクリップを人数分用意して,両側を留めた状態で裁断することです。切った後にバラバラにしたものを選別するのは大変ですから。あとは,指でも腕でも吹っ飛びそうな,真上から一気に切れるゴツいタイプの裁断機を使うことです。私事務室の裏の方にある年代物の大型裁断機を毎年使わせてもらっていました。おかげで本当にスパッと気持ちよく短冊作りができていました。カッターナイフとか,裁断機でもテコ式のハサミのように端から切っていくタイプだと綺麗にいかないのではないかと思います。
次回,このシリーズの最終回になります。
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