かんがえる子ども
テーブルの上によじ登ったり、そこにおさまってしまうほどの小さい体で寝そべったり。ひんやりした板の固さを感じながらスリスリと手足を上げ下げしてみる。
ベッドやソファーの上でぴょんぴょん跳びはねて、バネの強さを感じる。
水たまりを長靴をはいた足でバシャバシャ歩いて、長靴の中に入ってくる水やゴムの底に水のかたまりを感じる。
長靴の中もぐちょぐちょ、靴下が足に吸い付くように密着し、歩くとくちゃねちゃ音をたてる。家に帰ると、靴下は張り付いてなかなか簡単には脱げない。
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先日亡くなられた安野光雅さんの、「かんがえる子ども」(福音館書店)という本を読みました。
わたしはしつけなどという考えかたが嫌いです。
子どもは早くおとなのようになるより、子どもらしい世界に存分に生きて、自分から「お行儀良くした方がいいらしいぞ」と感じるときが来るのを、待つ方がいいと思います。
(略)
しつけができていない子どもは受入れられない、などというおとなも実際にはいるようですが、わたしはそういう子どもたちが好きです。
「かんがえる子ども」(福音館書店)より
お行儀は悪いかもしれない。でも振り返ると、靴下をぐちょぐちょに濡らしていたようなあの頃の時間たちが大切なものに感じます。