見出し画像

読んでよかった本3選

平和とはなにか?

そう問われたとき、簡単に答えられないじぶんに気づきました。戦争状態にないことを平和と呼ぶなら、私は平和な日常しか知らないからです。

未来のために、平和とはなにかを知るために、戦争を知りたいと思いました。体験しがたいことを知るには、読書が一番だと私は考えます。

そこで、この記事では平和と戦争について考えたいときに、私が心の底から読んでよかったなと感じた本を3冊ご紹介します。


夜と霧

ユダヤ人としてアウシュヴィッツに囚われた心理学者の有名な記録です。私はこの本で初めてホロコーストの詳細を知りました。

なぜ人は同じ人に対してここまで残酷になれるのだろうと読むのが辛くなります。人は生まれ持った残虐性を備えているのではないかと苦しくなります。

しかし、著者は強い意志をもって非人間的な日々を切り抜け、自分の力ではどうにもならない人生の理不尽さを嘆くことなく、こう語ります。

すなわち人生から何をわれわれはまだ期待できるかが問題なのではなくて、むしろ人生が何をわれわれから期待しているかが問題なのである。

ヴィクトール・E・フランクル『フランクル著作集 Ⅰ 夜と霧』(みすず書房・1961年)183頁

人とはなにか、人生とはなにか、平和とはなにか、深い学びを得られる名著です。


戦地の図書館

第二次世界大戦でアメリカの図書館員たちが戦場で疲弊した兵士たちに、いかに図書を送り届けたかを記すノンフィクションです。

今日死ぬかもしれないという状況では、本や文章は無力なのではないかと考えていたときがありました。しかし、本作を読む限り、それは間違いでした。

戦争という非日常において、本は日常への扉を開く窓なのかもしれません。平和だった世界へ通じるたしかな癒やしなのだと思います。

重症を負った隊員たちが、崖のすそに体をもたせかけて本を読んでいたのだ。

モリー・グプティル・マニング『戦地の図書館』(東京創元社・2016年)

すべての本好き、文章を書く人たち、出版に関わるみなさまにおすすめです。


アウシュヴィッツの図書係

強制収容所で8冊の本を隠し持つ秘密の図書館の図書係となった14歳の少女が、命がけで本を守る事実に基づくフィクションです。

主人公ディタにとって、本は夏休みに大人たちから読まされる面倒な宿題ではなく、命をかけて守り通したい希望でした。

明日まで生きていられるか分からない中で、大人になるための知識を得られる貴重な8冊を、ディタは決して支配者に渡しません。

人間が生き残るために必要なのは、文化ではなくパンと水だ。それさえあれば人間は生きていける。しかしただそれだけでは、人間性は失われる。

アントニオ・G・イトゥルベ『アウシュヴィッツの図書係』(集英社・2016)著者あとがき

本を読めるという平和について考えるきっかけとなる一冊です。


いかがでしたでしょうか?

たまたま海外の書籍に偏ってしまいましたが、いずれも強くおすすめできる名著だと考えております。夏の休日にぜひ読まれてみてはいかがでしょうか。

それがみなさまにとって平和について考える実りあるお時間となりましたら嬉しいです。読書は平和の象徴、過去と未来に繋がる扉だと私は思います。

平和や戦争についておすすめの本がありましたら、コメント欄でぜひお教えください。みんなで平和に読書を楽しみましょう。

ではまた。





いただいたサポートで牛乳を買って金曜夜に一杯やります。