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やさしい照明のある暮らし
やさしい照明が好きです。
天井から降り注ぐ昼白色のきりりとした輪郭のシーリングライトの明かりは、仕事をするぶんにはよいかもしれませんが、休日の夜にまったりとくつろぎたいときなど、私には強すぎるのかもしれません。
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今日、そんな私のもとに届いたのがこちらです。ご存じの方は、外箱を見ただけでピンときたかもしれません。20世紀を代表する彫刻家、イサム・ノグチのデザインした「AKARI(あかり)」と名づけられたスタンドライトです。
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どきどきしながら、ゆっくりと箱を空けます。
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組み立て式になっており、電球がひとつ付属します。繊細なつくりなので、緊張しながら組み立てました。
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出来上がりです! 私が購入したのは1Nという品番で、米粒みたいに少しだけ欠けているようにも見えるフォルムが気に入りました。月明かりのようです。
月といえば、夏目漱石のお弟子さんの内田百閒の書いた一節が思い出されます。
お日様とお月様と、どちらがえらいか。それはお月様がえらいにきまっている。お日様は明るい昼間に出ているのだから何でもない。お月様は闇夜を照らして明るくしてくれる。お月様が隠れたら、夜は真っ暗になってしまう。
屁理屈なのですが、なんだか納得してしまう、百閒先生の語り口。なるほど、月のように闇夜を照らしてくれるから、私はやさしい照明が好きなのかもしれません。
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学生の頃にアルバイトで貯めたお金で買って、ずっと大事に使っているノーブランドのフロアライトも、お気に入りの照明のひとつです。薄い木のシェードからふわりと広がる光が疲れた夜を癒やしてくれます。
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先ほどのライトとよく似ていますが、こちらはBUNACOという別のブランドのスタンドライトです。寝室に置いてあり、寝る前の読書にぴったりの照明です。
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キャンドルも夜の底を照らす、大切な照明です。こちらはKINTOのアロマオイルウォーマーです。アロマのために灯すというより、私は気泡がロウソクの灯りにゆらめくさまを見たいがために、火を点けている気がします。
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ところでこちらは、最近ほとんど衝動買いをしてしまった、フランスのブルゴーニュ出身の彫刻家、フランソワ・ポンポンが手がけた「白熊」という大きな彫刻のミニチュアです。美術品には、やさしい光がよく似合います。
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灯りの近くで本を読むとき、そっと栞の代わりになってくれます。良い読書の助手と出会いました。白い文庫本がよく似合います。
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夜、暗くなるにつれて、やさしい灯りをひとつひとつ灯していくのが、私の大切な習慣です。二十時を過ぎたら、天井のもっとも明るい照明は消してしまいます。
暗がりに柔らかい照明が点々と灯っている空間に癒やされます。大昔、大自然のなかで焚き火を囲んだ私たちの祖先と私は、もしかするとそう違わないのかもしれないと、大げさな空想を抱くその時間が、なんとも楽しいではありませんか。
スマートフォンの太陽みたいな鋭い光に目が疲れたら、みなさまも代わりにやさしい月明かりのような照明を点けて、静かな夜を過ごしてみてはいかがでしょうか。
お日様よりも、お月様のほうが、偉いらしいですからね。
では、また!
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