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アジア紀行~インドネシア・バリ島男3人漫遊編⑨~

火葬式翌日のモンキーフォレスト

プリアタンにあるアグン・ライ氏のギャラリーからクブク(KUBUKU)に戻ったのは午後6時過ぎだった。今夜はウブド王宮のプリサレン宮殿(Puri Saren Agung)で行われるレゴン・ダンスを観る予定なので、ゆっくりしてはいられない。夕食はダンスを観たあとにしよう。

モンキーフォレストの前まで来たので、昨夜の火葬式のことを思い出す。あれですべての葬儀が終わったわけではない。今どんな様子なのか気になって、儀式が行われたところに行ってみた。

まだ供え物が残っている。白い布で包まれたものは、遺骨や遺灰だろうか。数少ないが、遺族と思われる人の姿もある。薄暗い中でカメラを向けると、こちらを見る目があった。おもわず頭を下げる。

バリの人たちにとって、死者の霊は、やがて残された子孫を守る祖霊となる。儀式は最後まで厳粛に行われる。


レゴン・ダンス(LEGONG  DANCE)

厳粛な葬儀が行われていても、一方で定例のダンスは実施される。ウブドの中心にあるウブド王宮では、毎夜ちがったバリ舞踊が行われている。

昼間のウブド王宮 この前の広場でバリ舞踊が行われる。

この日は土曜日だったので、「ビナ・ルマジャ・ブダヤ(BINA REMAJA BUDAYA)」というグループによるレゴン・ダンスだった。

当時のチケット代金はRp.5,000。今はRp.10万になっているそうだ。
午後7時前に会場に到着。開始まで30分あるが、すでに大勢の観客がいる。始まる頃には超満員といえるほどいっぱいになった。

ウブドでは、日没と同時に気温が下がり始める。座っていると体が冷えてくるのがわかる。膝を抱えながらダンスを観る。

前方左右にガムランの人たちが陣取る。まず幻想的なガムラン演奏があり、いかにもバリらしい雰囲気の中に人々を誘い込む。
そして歓迎の舞「Puspa Wresti」が始まる。続いて「Topeng Keras」。これは仮面舞踊である。

続いて「Legong Kraton (レゴン・クラトン)」。クラトンとは「宮廷」という意味で、まさに宮廷舞踊の中心である。3人の少女が登場して、ラッサム王と、彼からの求婚を拒否するランケサリ王女の物語を表現する。少女の美しさに引き込まれる。

次は、「Kupu-Kupu Tarum 」。クプクプとは「蝶」のことだ。蝶々が花から花へと飛び回る様子を踊りで表現する。
続いて「Oleg Tambulilingan」(蜂の舞)。
そして最後は「Jauk Dance」。これは、古代の衣裳と仮面をつけた男性による一人舞踊だ。主人公は半分人間、半分巨人で、長い爪のついた手を振り回したり震わせたりしながら、即興を交えて踊る。ガムランとの掛け合わせもおもしろい。

すべてが終わったのは午後9時過ぎ。バリを訪れるたびに毎回ダンスを観るが、飽きることはない。
クブクに戻る途中のレストランで、遅い夕食。3人お腹いっぱい食べて、Rp.29,000は安い。
真っ暗な夜道を歩いていると、モンキーフォレストから出てくる人がいる。今日の儀式も終わりらしい。

朝から盛りだくさんの一日だった。バリの夜が静かに更けていく。




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