アジア紀行~インドネシア・バリ島男3人漫遊編⑫~
旅もいよいよ大詰め
旅をしていると、日にちの感覚が鈍くなる。毎朝、新聞の朝刊を見るわけでもなく、曜日を確かめることもない。「日本を出てから、もうだいぶ経ったなあ」とぼんやり考える。数えてみると、今日で17日目だ。そして明日はついにバリを離れる日。
朝8時に起き出すと、太陽はすでに東の空から地上を熱く照らしている。しかし水田に面した吹き抜けのレストランは、風が通って気持ちがいい。ここで朝ご飯を食べるのも、今日と明日でおしまい。
11時頃、アグンさんからKUBUKUに電話があった。明日の午前中に発つことを伝えると、空港まで送ってくれるという。ありがたい。
11時半、ADI PANA にパルミタさんに挨拶に行く。先日はお兄さんのワルダナさんしかいなかったが、今日は在廊。何かと忙しいそうだ。先月、自宅にゲストハウスを2部屋つくったというので、写真を見せてもらう。気持ちのよさそうな部屋だ。ツインで1泊 Rp.15,000 だという。20分の1で換算すると、750円ぐらいだ。建設費は Rp.1,000万。土地代は含まれていないが、50万円で2部屋の建物ができるというのは驚きの安さだ。もちろん、こちらの人にとっては、すごい大金であることは間違いない。いつか泊めてもらうことがあるかも。
お土産を買いたかったので、パルミタさんのバイクの後ろに乗せてもらって、マーケットに行く。クルプック(乾燥させたえびせん)とコーヒーを購入。クルプックは油で揚げると大きく膨らんで、とても美味しい。
それぞれ二袋ずつ買って、Rp.7,000。現地の人といっしょだと、絶対に安い。
戻る途中で、アグンさんのドライバーのマデさんの車と出会う。アグンさんがお昼をごちそうするから、新しく建てたレストランに来るように、ということだ。マデさんは、わざわざ迎えに来てくれたようだ。
パルミタさんにバイクでKUBUKUまで送ってもらい、YとM君をさがすが、どこかに出かけていていない。マデさんに待ってもらうのは気の毒だから、あとで歩いて行くと言って、帰ってもらう。
1時間ほど待って、やっと2人が帰ってくる。KUBUKUのレストランから、田圃のあぜ道を歩いてくる2人の姿が見える。
PURI INDAH
アグンさんの新しいレストランの名前は「PURI INDAH」という。「美しい宮殿」という意味らしい。美術館、ホテル、レストラン、野外劇場などがここにできる予定だ。レストランはすでに完成している。
見晴らしのよい2階でタイ料理をごちそうになる。大皿にたっぷり野菜炒めが盛られている。スープは辛いけれども、とても美味しい。自分の皿にご飯と野菜をとって食べる。
知り合いのバルティがバーカウンターにいて、レストランの人にカクテルの作り方を教えていた。何と彼は日本でバーテンダーをしていたことがあるそうだ。不思議な経歴をもつ人物だ。
バルティとは、今晩「影武者」でいっしょに晩ご飯を食べる約束をする。
すっかり満足して、アグンさんと奥さんに礼を言って、再び歩いてKUBUKUに戻る。
途中の店で、M君がバロンの彫刻を買った。10万Rpだから、けっこう高い買い物だ。
最後の夜
KUBUKUに戻ったのは午後4時ごろだった。陽は傾きかけているが、まだ暑い。3人でプールに行こうという話になって、近くの CHANPLUNG SARI HOTEL に行く。Rp.3,000のチケットを買えば、ホテルのプールで遊べる。プールは建物の影になっていて、水からあがると肌寒い。Yは泳いでいると、のびのびしているように見える。外国人の男性に、「He is a fish!」と言われていた。
寒くなったので、先にプールを上がり、KUBUKUに戻ることにする。途中、モンキーフォレスト通りにあるスーパーマーケットで、「GARAM」というタバコを5箱買う。タバコは吸わないけど・・・。近くの店で絵葉書を売っていた。1枚Rp.350。絵葉書はよく使うので、バリ絵画の絵葉書を大量に購入する。数えると53枚あった。これでRp.18,550。1,000円ほどだ。
いつの間にか日が暮れて、あたりがまっ暗になってきた。モンキーフォレストの辺りは灯りもない。明日はもうバリを離れるのだと思うと、なぜか心細い気がした。
KUBUKUに戻ると、Yたちはまだ帰っていない。こんな時間までプールで泳いでいるとは思えないので、どうしたのかと心配していると、しばらくしてハナさんといっしょに帰ってきた。CAFE WAYAN で「DEATH BY CHOCOLATE」というやたら甘そうなケーキを食べてきたという。今から晩ご飯だというのに、信じられない。ハナさんもいっしょに影武者に行くはずだったが、ケーキでお腹の調子がおかしいといって、彼女は行かないことになった。
夜8時半、バルティがKUBUKUに誘いに来たので、いっしょに「影武者」に行く。11時ごろまで、ゆっくりの晩ご飯になった。
今日はいろんな人と会う一日だった。時間が過ぎていくのが惜しくなる。