オオカミ少女はどこへ行く 其の二
さて、ミュンヒの少女ですが、わたしはよくわかりませんが、
アメリカ人とのハーフクオーターという、1/6?の血が
混ざってるそうです。
それも本当かわかりませんが。
で、ある日また電話がかかってきて、
「妊娠したから、旦那とひいおばあちゃんのアメリカの家に住む」
という、またまたトリッキーな嘘を思いついたもんだと思いました。
しかし、当時はアメリカでリーマンショックが起こっていまして、
《旦那働き口なんかないんじゃないの?》
という疑問が…
まあ他にも突っ込みどころは満載なのですが。
アメリカに行くということは、もう二度と連絡してこない、会わない
ということ。
それは彼女なりの「さよなら」の儀式なんだと思うことにしました。
なので、最後に一度だけ会うことになりました。
しかし、その前にもう一人犠牲者がっ。
入院中の喫煙仲間の女の子もこの嘘の舞台に招待されていました…
もう既にその女の子とは会っていて、「結婚祝いももらった」というではないですか。
その子は純真無垢で、ミュンヒの少女がまさか嘘をついてるとは知らないため、快く応じて会ってくれたとのこと。
なむー。
で、わたしもミュンヒの少女と会う日がやって来ました。
妊娠しているとの「設定」なので、彼女はタバコが吸えず(本来は喫煙者)、駅近くの喫茶店の禁煙コーナーでお茶をすることになりました。
*当時はまだ分煙の喫茶店でした。
*ちなみにわたしは現在非喫煙者になりました。
わたしはたまに喫煙コーナーに行ってタバコを吸っていたのですが、
彼女も吸いたそうな素振りをしていましたが無視していました。
「フリ」も大変ですよね…
わたしはプレゼントを用意する暇がなかったので、お茶の後、駅に隣接している商業施設で、5千円以下で欲しいものを買ってあげることにしました。
彼女は洋服を欲しがったけれど、それはNGにしました。
「記念になるような物を」
とわたしが言ったので、、
彼女はいろいろ迷ったすえに、小さな木製のオルゴールをチョイスしました。
「じゃあ、元気な赤ちゃん産んでね」
とバス停でお別れをしました。
《これでやっと解放されたー!》
とわたしは思いながら、軽やかな足取りで家路にかえりました。
…それから数日後、彼女から夜に電話がきました。
少女 「いまからフライトなんだ」
わたし 「そう、気をつけて行ってね」
少女 「じゃあバイバイ!」
断定いたしますが、これは全て彼女の妄想、嘘、演技なのです。
ところで、何故わたしが騙された「フリ」をするのか。
わたしはそんな風になってしまった彼女の将来を憂い、憐れに思い、
「この少女の嘘につきあってあげよう」
と出会った時に決めたのです。
しかし、所詮は偽善、わたしの自己満足。
彼女の「偽り」の舞台に一緒に立つことに、わたしはそろそろ限界を感じていました。
この話、もうちょこっとだけ続きます。