世界は餃子になれるのか、あるいはひよこはいかなる時でもひよこであるということ
ひよこはひよこのままであった
ひよこはひよこのままでいて、
世界はやはり潰れた餃子の皮だった
ぺちゃんこ、すかすかな世界の底、
ペンキで塗りたくることは、実にたやすいことだけれども
こくりこくり頷く先で愛でる入道雲は、なんとなく卑猥に見えたりもする
電車の窓、通り過ぎるカレー屋の看板が、歌姫のように見えたりだってする
ひよこはひよこのままだった
ひよこはひよこのままでいて、
無知に卵焼きになるのかもしれなかった
無駄にひよこなのかもしれなかった
もしくは綿あめかもしれなかった
本質などあってないようなものならば、
世界は餃子になれるのか
あの日、泣き虫な夕焼けの縁で目尻を染めた少年は
マメタンを卒業できただろうか
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