ペンと瘡蓋、あるいは私自身のこと
登らなくともいい山を登っている
見ず知らずの声が丘をくだり、背骨を砕く
その痛みがただ、
傀儡の足を突き動かしている
指先は爛れ、垢に塗れて、
誰もが物言えぬ海月になっている
登らなくてもいい山は、
誰かが作ったものだった
よく見ればただのハリボテであった
誰もが無知なままでいて、
誰もが緩やかに忘却し、
残るのはただ、
目の前の粗雑な険しさのみである
私は彼らの背中に宿る、
兎の皮を被されたハイエナを眺めながら、
傷口にペンを突き立てた
偏屈な砂利道も、かつては白い砂浜であ