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にじいろガーデン

またとんでもない作品を読んでしまった。
小川糸さんにどっぷり使ってもう数ヶ月。

小川糸さんの作品を
いつも持ち歩き読んでいる。

先日読んだ「にじいろガーデン」

えっえっえっ!!!!
そんな連続だった。

もう最後までどうなるのどうなるの
とバクバクしながら。

突拍子もないことだらけなのに
なぜが現実味があって
不思議な感覚に陥ってしまう糸さんワールド。

今までの作品もそりゃーびっくりな展開というか設定というか。
でも全然嫌じゃないんだよなー

すんなり受け入れることができるだんよなー不思議。

すこしネタバレが入るかもしれないので
まだ読んでない人やこれから読もうとしている人はこれ以上は読まないでほしい!

レズビアンの高校生とこの高校生によって
自らがレズビアンだと気がついた中年女性
そしてその女性の息子。
3人はそれぞれの思いを胸に駆け落ちをする。
3人で住もうと決意する田舎町。
そこで高校生が妊娠していることに気が付く。

その後4人家族となり喧嘩してぶつかって泣いて笑って
それぞれがそれぞれの立場で家族を思い
相手を思い過ごしていた。

過労による救急搬送とゲストハウスのスタート
大病の告白と死を覚悟した最後のお願い
秘めた思いを隠したまま家族を思い続ける姿
自分の感情に素直にまっすぐ生きていく。

それぞれにそれぞれの想いがあり、
それぞれが家族の幸せを考えている。

後半はとにかく涙が止まらなかった。
枕がびしょびしょになってしまった。
でも小川糸さんのラストはいつも力強い。

前に進み続ける背中を見せて終わる最後に
いつも体が熱くなる。

今回もそうだった。
最後の終わり方が良すぎて何度も何度も読み返した。

この話には離婚だったり、シングルマザーだったり
残されたものの姿だったりそんな描写があるが。
ついつい自分の人生と重ねてしまった。

両親が離婚し、父親に育てれらた私は
26歳の時最愛の父を亡くした。
まだ結婚もしていなかった。
父は、孫も抱いていなかった。
子供である私たち兄弟が無事に就職し
それぞれ自分で自立して、これから
父は自分の第2の人生を歩んで行くはずだった。
その矢先、脳内出血で帰らぬ人となった。

父の死を素直に受け止めることなどできなかった。
葬儀場で泣き続け、憔悴しきった私。

それとは対照的に喪主としてしっかりと
役目を果たし涙を流さなかった兄。

父の死を受け入れるのに3年かかった。
父のことを思うと車の運転中涙が止まらないことが続いた。
ひとりの時はいつも父の写真を見て
父とのことを思った。
でも次第に父は死んだんだと人に話せるようになった。

亡くなる者と残される者。
亡くなった人は私の中に生き続ける。
関わった人の中で生き続ける。

にじいろガーデンの葬儀場の描写も好きだ。

生と死
死者と残された者
家族とは
愛とは
そんなことを考えさせられる小説だ。

そして言い過ぎない。書きすぎない。
だからしんどくない。
本当にすごい作家さんだ。

大好きです。

最新作まで全部読み終えたら、この思いを手紙で届けようと思う。

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