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ビリヤニの基礎 その3 〜 ビリヤニの構成要素は5つ

ビリヤニは作る工程が少し複雑で長いので、難しい料理だと思われがちです。もちろんこだわればいくらでも複雑になるのですが、組み立てを考える上でその構成要素を整理してみると、思ったよりもシンプルだったりします。

ビリヤニの構成要素その1. スパイス

何をもってスパイスと呼ぶか、と言うのも若干議論があるのですが、もっぱら香味に寄与する要素を取りまとめて考えておけば良いかと思います。ニンニクや生姜は好きなカテゴリに入れましょう。

このスパイスは、ごろっと原型を保ったホールスパイスもあれば、粉に挽かれたパウダースパイスもありますし、ハーブと呼びたいフレッシュなものもあったりします。順序や使い方でより風味が素材に染み込んだり、熱で変化が起こったりします。

ビリヤニで最低限担保したいのは「なんかかしらビリヤニっぽい香りがする」ことなので、バスマティ米を使って入れ極端な話カレー粉一つでもビリヤニは作れてしまいます。しかし、ちょっと特別な非日常感、もっと言えば「典型的な日本のカレーの雰囲気とは違う感」があったほうが気分が上がるので、スパイスに凝るとその辺のクオリティが向上します。

詳しくは応用篇で触れますが、ビリヤニをグッとビリヤニたらしめる「曼陀羅(まだら)感」にはホールスパイスが有利なので、手に入れやすいホールスパイスは使った方が満足度は上がるけど、まぁなんだかインドな香りがあればとりあえずは成立するものなんだ、と理解しておけば良いと思います。

ビリヤニの構成要素その2. 米

バスマティ米です。品質と価格が連動してしまうものなので、原価が気になる業務用で使わないのであれば、値段が高いものを選びましょう。キロ1000円クラスの物を買っておけば基本は大丈夫だと思います。もしくは、日本ビリヤニ協会のウェブストアから入手すれば安心です。

このクラスのバスマティ米を使って、大失敗しない3つのポイントが押さえられていれば、ちゃんと美味しくなると思います。

ビリヤニの構成要素その3. ボディ素材

トマト・玉ねぎ・ヨーグルト辺りの組み合わせ(たまに豆やココナッツ)と考えればよく、そこにニンニク・生姜も寄り添う感じです。これらの素材のとろみや甘みや旨味や酸味などがスパイスと合わさってカレーの元的なものになり、味の方向性が決まります。これに肉や魚や野菜などの具的な旨味素材を加えると、グレービーやヤックニーになります。

加熱によってトマトの酸味や玉ねぎの辛味を飛ばして、ついでに水分も飛ばして旨味を凝縮することでビリヤニのボディを支える役目を担います。すでに凝縮済みのフライドオニオンやオニオンコンフィ、トマトペーストなどを使って(買って)楽をする手もあります。生玉ねぎから頑張る場合は、飴色になるまで頑張るか、フライドオニオンを頑張りましょう。

ビリヤニの構成要素4. 具材

肉や魚やキノコや野菜・豆と言った、いわゆる「具」の部分です。上記3の基本のボディと合わさって、旨味の方向性を決定づけます。XXビリヤニの「XX」は大抵これか、もしくはどっかの地方なり店の名前なりがくっついたりします。

この具材は「具」として美味しいことと、3のボディとともに旨味をビリヤニ全体というかバスマティ米に提供する役割を持っています。どちらかというと米料理であるビリヤニにとっては後者の方が重要ですが、どうせ食べるなら具としても美味しい方がいいに決まっていますので、ヨーグルトや各種スパイスに漬け込んで風味をつけたり柔らかくしたりします。

骨つきをオススメされるのも、旨味の素材としては骨ぎわ・皮ぎしが有利なことに起因します。旨味が出るのに時間がかかる素材の場合、あらかじめできるだけ少ない水分量で水煮をして旨味を引き出しておくと良いです。

ビリヤニの構成要素5. トッピング

ビリヤニに関してはトッピングはおまけではなく、ある意味調味をしない具材であり、ボディの補強であり、スパイスの一種と言っても過言ではありません。見栄えとしての役割以外にも、作る時にはかならずある程度は入れることを考えておきたい要素になります。

トッピングはフライドオニオンが代表格ですが、パクチー・ミント・生姜・生玉ねぎ・ホワイトセロリのようなハーブ系、キュウリ・トマト・レタス・柑橘のような青果系、カシューナッツ・ピーナッツ・アーモンドのようなナッツ系、レーズンなどのドライフルーツなど多岐に渡ります。

また、ライタに代表されるヨーグルトも添えると、辛味や塩気のバランスを食べての好みで調整できるようになります。香味・甘み・油分・水分のバランスを考慮しつつ、2〜3種類以上使うようにすると美味しさも見栄えもグッと上がります。


基本となる構成要素はこの5つです。色々な複雑なレシピは、この5つの要素を美味しいビリヤニたらしめる工夫に過ぎないので、最低限は「それっぽい香りのスパイス」と「それなりのボディ素材」を調理し、好みの具材と合わせてバスマティ米を炊き込んで、適当なトッピングを散らせばビリヤニになります。

それでは次の稿ではいよいよ、材料をかなり絞った簡単なレシピでビリヤニを作ってみたいと思います。

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