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糞尿までも守る、アグレッ柴

タイトルの通りである。
SNSで見かけたアグレッ柴というワードが、我が家の子犬にもピッタリだと思い使わせてもらった。

我が家の子犬は生後二カ月半頃から、「守る」行動が見られ始めた。
一番最初は、飼育本に倣って食べ物を詰めたコングを与えたときのことだった。

なかなか中身を取り出せない子犬の様子を見て、取り易くしてあげようと次女がコングに触れようとした瞬間、子犬は今までに聞いたことないような攻撃的な声で次女を吠え立てた。

はじめは何故こんなにも子犬が凶暴化したのかわからず、その場に居合わせた家族全員で驚いたのだが、のちにこれが犬特有の「守る」行動であると知った。

留守番中のひとり遊び用に購入したコング。
最初のうちは中身を全て食べ終わったあとは興味を無くしていたのだけど、次第にコング自体を激しくかじり始め、仕舞いにはコングそのものを噛みちぎって食べるようになった。

その時の子犬はコングに対して強く執着し、片時も離そうとしない状態。少しでも目が合おうものなら激しく唸ってこちらを威嚇するため、そのまま詰め寄るようにこちらが近づくと足首を噛まれ、少し流血した。

このままこちらが引き下がると主張が通ったと学習してしまうだろうと思い、噛みついている子犬を振り払い、守っていたコングを取りあげた。そして、その時以来コングは与えていない。

室内飼いではあるが、子犬の家の中での行動範囲は150㎝×150㎝のサークル内に限定しており、朝晩の食事はサークルの中で与えている。

生後3か月を過ぎたあたりからフードアグレッシブ傾向があり、食事中にサークルの近くで立てると短く唸ったりするため、食事が終わるまではサークルから距離を取るように家族で統一している。

食後から15分くらい経ったら頃合いをみて、子犬の意識が別のとことに逸れている隙に皿を回収しているが、いまのところ皿を守るようなことはない。ただし、この先も守らないという保証はないため、毎回ちょっとしたスリルを味わっている。

他には、子犬にとって珍しい食べものを与えたときに攻撃的になる傾向がある。
ペット用クッキーを与えた際は、食べているところを横で見ていた娘たちに対して攻撃的に吠え、スイカの切れ端与えた際はしっぽをブンブン振りだしたと思いきや激しく興奮し、与えた妻に対して激しく吠え立てた。

と、このような感じで食べ物が絡むと凶暴化するため、「執着して守りそうなものは与えない」という方法で対策をしている。
しかし、守るものがなければ攻撃的にならないだろうと高を括っていた矢先、今後は自分が排泄した糞尿を守り始めた。

ある日の仕事中、学校から帰宅した次女からlineメッセージが届いた。

「いまやばい」

「こんなかんじでうんちかたづけれん」

メッセージの後に送られてきた動画では、サークル内のトイレトレーの前に立ちはだかり、サークルの外にいる次女に対してコングを守ったときの様に激しく吠え立てている子犬の姿と、子犬の背後にある糞を確認出来た。

下手に手を出すと咬まれて怪我をする可能性があるため、私が帰宅するまでそのまま置いておくように次女に伝えた。
結局その日は私より先に帰宅した妻が後始末をしたのだが、その際は別段糞を守るようなこともなく、普段通りに処理できたとのことだった。

翌日も次女からlineメッセージが届いた。

「これどうしたらいいと思う?」

送られてきた動画には、床に排尿した子犬がその場所を守るように唸っている様子が映っていた。(サークル内には撥水加工してあるペット用のマットを敷いてあるため、漏らしたおしっこで水浸しになっている)

立て続けに長女からもメッセージが届き、

「二回連続で同じ場所で漏らして、しかもおしっこ飲んでる」

とのこと。拭き取ろうと近づこうにも昨日と同じように飛び掛かってきそうな勢いて威嚇してくるとのこと。

どうしたらいいと思う?の問いに対して、もし自分がその場にいたら、威嚇しても噛みついてきても「は?」みたいな態度で拭き取るけれど、こちらが怯んでいることが伝わると威嚇すれば相手は退くと学習してしまうらしい、との旨を伝えた。

「あー、どうしようかな」

と長女から返信が届いたので、無理そうなら昨日のようにそのままにしておくようにとメッセージを送ったが、そのまま既読がつかなくなった。

おや?と思いペットカメラを覗いてみると、サークル内に入り粗相した場所を拭き取っている次女と、そんな次女から引き離すようにおやつを使って子犬をサークルの反対側へ誘導している長女の姿を確認した。
ナイスコンビプレーである。

しばらくすると長女からミッション完了のメッセージが写真と共に届いたので、娘たちを心から褒め称えた。
ただ、次女がちょっと怪我をしてしまったとのことで、怪我した箇所の写真を送ってもらったところ、手首に犬歯の跡が付いて僅かに血が滲んでいた。

次女いわく、噛まれたときは払い除けず、強気な態度で噛まれたままの腕をそのままグイっと子犬に押しつけたとのこと。
実に頼もしい行動であり、小学生の頃の私だったら怖気づいてきっと出来なかったことだろう(ちなみに長女は私の性質を受け継いでいる苦笑)。

そしてその翌日、次女から、

「またアグレッ柴(涙)」

とのメッセージが。
ペットカメラで確認すると、トイレトレーの上を陣取っている子犬の姿が。さすがに昨日の大騒動で次女もうんざりしていた様子だったため、この日はもうそのまま放置して、別の部屋にいるように伝えた。

その後、私が帰宅した頃には執着が解けた様子で、先日の妻のときと同じように普段通りに後始末が出来そうな雰囲気だった。

ただ、守るスイッチがどこにあるのが知りたかったため、検証のためにそのまましばらく始末をしないで様子を見ることにした。
しかし、その後も糞を守るようなことはなく、結局私が普段通りに始末をした。

これは一体どういうことなのだろうか?

食糞をするのであれば、食への執着が原因で凶暴化するのは分かる気もするのだけど、いまのところ我が家の子犬は食糞はしない。

Yahoo!知恵袋で、同じように糞を守って困っているという投稿をいくつか見かけたりしたが、当然のことながらこれといった答えが見つかるわけでもなく、どうしたものかと思い悩んでいる。

今回は子供たちだけに対して攻撃的になっていたけど、帰宅時間などの条件が変われば妻や私に対しても攻撃してくるのだろうか?
それとも相手によって態度を変えている?もしくはテリトリー的なもの?

子犬と過ごす日々は、答えのない問いとの闘いである。

ちなみに、我が家の子犬は4人兄弟で、そのうちの一匹は私の同僚が引き取り、お互いの子犬のことについて日々情報交換をしている。
同僚は引き取った子犬が食糞をすることに悩んでいるが、何かを守って咬みついてきたことは一度も無いとのこと。

先に述べた我が家の悩みを話し、食べるのと守るのとではどちらの方が嫌か?と訊いてみたところ、「どっちも嫌だけど、食べる方が嫌かも」と言われた。

確かに、そうかもしれない(笑)。



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