楽しい悩み
ここ一週間くらい、ずっと悩んでいることがある。
それは、子犬のハーネス選びだ。
抜けにくいもの、脱着のし易さ、メーカー、形状など、調べれば調べるほどどのタイプも一長一短あることを知り、なかなかこれといった決定打を見い出せないでいる。
以前はこのような類のリサーチは非常に面倒に感じ、低価格のものをテキトーにチョイスしてさっさと済ませていたのであるが、私自身の子犬に対する心境の変化とともに、楽しい悩みへと変化していった。
特に、この手の物の色選びについては家族が呆れるほど無関心であった私であるが、どの色のハーネスにしようかと考えている時間はとても楽しく感じる。
現在子犬は近場のホームセンターで購入したポリエステル製の安価な首輪をつけていて、そこにリードを繋げて散歩に連れ出している。
リードも首輪と同じメーカーのもので、田舎のホームセンターという数少ない選択肢の中から間に合わせで購入したものだ。
どちらも簡素な造りではあるけれど、非常に使い勝手が良く、長さ調整も脱着も不自由なく、耐久性も抜群であるためとても重宝している。
子犬を迎えた当初、同じく間に合わせでハーネスを購入したことがあるが、こちらは完全に失敗だった。
当時は本当に何もわからない状態だったにも関わらず下調べも一切しなかったため仕方がないのだが、足を挙げて通すタイプのハーネスを子犬は拒絶した。
どうにか無理やりつけてはみたものの、ハーネスを着けられた子犬の尻尾は下がりっぱなしで、そのまま一歩も歩かなくなってしまい、結局そのハーネスはその後一度も使うことなく、現在に至っている。
首輪とリードの脱着には子犬自身も慣れたし(当初は逃げ回っていたが、今ではリードを見ると喜んで近づいてくる)、以前のような呼吸音がおかしくなるくらいの引っ張りはしなくなったため、無理にハーネスに切り替える必要もないかもなと考えていた。
しかし、以前ほどの引っ張りはなくなったとはいえ、風が強い日に木の葉などが勢いよく舞うと全力疾走で追いかけようとするし、相変わらずすれ違う人や犬にもグイグイ近づいていこうとする。
特に、子犬が触れ合いたいと思っている相手に対しての興奮度はすさまじく、そんな時は、やむを得ず子犬の動きを制御しなければならないが、リードと首輪を通じて子犬の首に強い負荷がかかってしまうことはどうしても避けられない。
動物だからといって首の構造が特別頑丈に出来ているわけはでなく、人間と同様に犬の首周辺には沢山の神経が通っていため、首への負担は無いに越したことはない筈だ。
例えば、落ち着きのない幼児の動きを制御するために首輪で繋ぐと想像した場合、それは虐待といっても過言ではないほどの苦痛とストレスを幼児に与えることになるだろう。
気が付けば、いつからか子犬に対して身体的・精神的ストレスを可能な限り軽減してあげたいと考えるようになっていた。
去勢をしないという選択や、今回のハーネスへの切り替えにしても、こういった話題を持ち出すのは大概が私だ。妻や娘たちの口からは、まず出てこない。(また何か面倒なことを言い始めたぞ、くらいの温度感)
子犬とは義務感だけで関わっていて、全ては作業としか思っていないと公言していたのは一体どこのどいつだっけ?と、自分自身に言ってやりたくなる。