純粋に、素朴に、シンプルに。それが毎日の活力になる。「おにぎり屋 シチロカ」様
東京都中央区日本橋人形町。下町のビルが建ち並んだ路地にあるおにぎり屋「シチロカ」様。
『大事なことはお客様の毎日のルーティンになること』。言葉の端々から謙虚で真面目な人柄がにじみ出る店主様にお話を伺いました。
単純なようで意外に難しいおにぎりをおいしく作る秘訣も訊いてみました。
お店のこと
-お店を始められた背景をお教えください。
何かしらの飲食店をやりたいと思っていたんです。自分のお店を出したいっていうことで飲食店で働いていました。
-将来の夢や希望として『自分のお店を持つ』というのがありますよね。
イタリアンとかラーメン屋だとか、いろんなお店がある中で自分の出来ることは結構限られていまして。その中で「おにぎり」っていうものが浮かんで。
おにぎりだったら毎日食べても飽きないですし。需要があるんじゃないかと思いまして、おにぎり屋をはじめました。
-「活力」の漢字をばらばらにしてカタカナにして「シチロカ」としている興味深い店名です。お客様の活力となるようなお店を続ける上で大事になさっていることをお教えください。
おいしくなるようにというのはもちろんなんですけれども、毎日来られるお客さんがいるので、まあ当たり前の話なんですけど、休まないっていうこと。
お客さんのルーティンになるように、日常を乱さないようにということは思いますので、まずはお店を休まない。営業日は平日だけですけど毎日しっかり営業する。そういうことは意識しています。
メニューのこと
-おにぎりのほかにもお惣菜やお味噌汁、メニューがすごく豊富ですね。おにぎりの具材やお惣菜は、手作りされていらっしゃるんですか?
おにぎりに関してはなるべく手作りを意識して、かつシンプルに。難しいことはもともと出来ないので、シンプルに作るということですかね。
すべて手作りしているわけではないんですけど(明太子や梅などは)いい味のものを仕入れています。
-いろんなものを試食して、比較しながら、いい味のものを選ばれているんですね。
そうですね。お米に関しても、あきたこまちさんのお米をどういう風においしく食べてもらうかっていうのも意識したり。なるべく、素材の味というか、純粋な素朴な味を意識しています。
-おにぎりの具材に『いぶりがっこチーズ』という秋田色が強いラインナップがあるのですが、メニュー化に至ったエピソードをお教えください。
鮭とか昆布とかおかかとか、よくあるものだけじゃなくて、あきたこまちを使っているのもありますし、パッと見て珍しいものを入れることを考えていて。居酒屋さんのおつまみにもありますよね。食べてみておいしかったから、メニューに入れました。
お米のこと
-お米をあきたこまちにされたのは、秋田出身だとか、秋田にゆかりがあったのでしょうか?
いえ、もうシンプルに、おいしいということです。あるところから紹介して頂いたのですが、もう本当においしかったので、あきたこまちにさせてもらったんです。
注文は電話で対応して頂くことがほとんどなんですけども、丁寧じゃなかったことがなかったんですね。対応も本当に早くって。たまに皆さん(営業員)に連絡してもすぐに来て頂いたり。本当に味だけじゃなくて、対応も良くして頂いてということです。ありがとうございます。
-羽釜で手間をかけてご飯を炊くことからも、お米への想いが伝わってきます。
火加減は、もう最初の頃は何回も失敗したんです。
うちはkg単位なんですけど3kg、2kg、1kg…と、営業の状況によって炊いています。
水加減は、季節によって炊き方があるように、新米の時は水分が多いので、その時は水を減らしたり。古米になるにつれてちょっとずつ増やしたりと、微調整しています。
火をつけて、3kgだったら大体9分~9分半ぐらいで炊きあがります。「その時」は釜が合図をくれる。バーッと横から蒸気が出てくるので、そこが弱火にするタイミングです。
ガッツリ強火で炊いて、そのあとに蒸気が横から出てきたら弱火にして5分。そのあと蒸らします。
ベースは決まっているんです。3kgだったら9分半。ちょっと他のことに気を取られた時も、しっかり対応できるベースがあって、様子を見てやっています。
おにぎり技術指導
-家庭でもできるようなおにぎりをおいしく作るポイントやテクニックをお教えください。
ええっと…。
-あんまりテクニックを詳しく教えてしまうと、ご商売がね…(笑)
いえ全然!基本的に隠すってことはないんですけど。
「愛情込めて作る」というのはよくある話だと思うんです。ただ、その過程の「強く握る」とか「小さく(または)大きく握る」とか、いろいろあるんですが。
夏でしたら、しっかり塩をつけて、お米の硬さにもよると思うんですけども、うちのはしっかり握るというか「整える」。何回かギュって握ったら、あとは整えるんです。
周りのつぶつぶをしっかりしたおにぎりの形に整えることは意識しています。言葉では難しいですよね。
-私もたまに家でおにぎりを作るんですが、お米の炊き方としては硬めのほうがいいですか?
硬めっていうのが多いかもしれないですね。
-おにぎりのプロの方に聞きたいなと思っていたのが、握りすぎているのか、つぶ感が出ない。何か握るときのコツがありますか?
たぶん握りすぎているのかもしれないですが、何回か握ったらあとは整えるっていう、力加減のほうが、もしかしたらおいしくなるのかもしれない。
-おにぎりがどうしても三角形にならない…。
丸でも美味しかったらいいんです!
-どうしても…三角形に…。
(よほど不憫に思ったのか)…握るときの手の角度です。
うちのスタッフも、丸っこかったのが自分で「こうしたら三角形になるんじゃないか」っていうコツを見つけたんじゃないですかね。
=インタビュアー実食!=
つやつやした海苔はしっとりしていて、ふんわり握られたおにぎりをやさしく包み込む…。
『しっかり塩をつけて握る』と仰っていた通りしっかりとした塩気が、あきたこまちのおいしさを引き立てている。
おにぎりのてっぺんと、(写真がなくてすみません)中にも具がぎっしり。
人肌のおにぎりのあたたかさを堪能しました!ごちそうさまでした!
店舗情報
おにぎり屋 シチロカ
インタビューを通じ、大潟村あきたこまち生産者協会のお米やパスタを選んだ理由、おすすめの調理法などを紹介します。
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