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私たちのまち「小倉(こくら)」を考える #1
福岡県北九州市小倉北区にそびえる小倉城。その下屋敷として小倉城を望む日本庭園が小倉城庭園となります。このnoteは、小倉城庭園の中の人が、小倉城や小倉城庭園周辺の歴史や文化を掘り下げていくことを目標に始めました。今後もお付き合いのほど、どうぞよろしくお願いいたします。
小倉城庭園はお庭だけでなく、茶席や、博物館相当施設、研修室などを備えた、人と文化が交わる拠点としてご利用いただいています。
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このnoteは「小倉の歴史」「小倉城から歩いて行ける、おすすめ飲食店」「庭園の講座体験記」「初心者に優しい茶道や香道の楽しみ方」「小倉城藩主小笠原家の人物紹介」などを更新していく予定です。
さらに「小倉城藩主細川家」に詳しい有志や、小倉藩の茶道師範だった流派の皆さん、地元の歴史家の皆さんたちにより、「小倉城マガジン」としても運営していく予定ですので、ぜひマガジンのフォローもお願いいたします。
初回は、「小倉」という地名について考えていきます。
「小倉」という地名
小倉という地名の由来には、いくつか説があります。北九州市のホームページにはこのように書かれています。
「小倉(こくら)」という地名の由来
上代皇室の領田にできた穀物を納めた屯倉(みやけ)といわれる「倉」それも「小さな倉」が足立山麓にあったからという説や、「企救(きく)の浦」が「こくの浦」となり、更に転化して「こくら」になったという説があります。
他にも、高麗や高句麗から移り住んだ人が多かったため、それが訛って「こくら」と呼ばれるようになったという説もあるようです。
万葉集に出てくる「企救の浦」
その「企救の浦」は「万葉集」にでてくる古い地名です。例えば、万葉集の巻第十二の最後に「豊国の企救の長浜行き暮らし 日の暮れゆけば妹をしぞ思ふ」「豊国の企救の高浜高々に君待つ夜らはさ夜ふけにけり」という歌が並んでいます。柿本人麻呂とその同行者が詠んだ歌だとされています。
企救の国には、長い浜や高い浜があったことがわかります。長浜町という地名も実際にあります。
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小倉城庭園という遺跡
ここで小倉城庭園の話がでてきます。小倉城庭園がある場所は、30年ほど前に発掘された「小倉城下屋敷跡」という遺跡です。江戸時代の庭が発掘されただけでなく、縄文時代から弥生時代、古墳時代、奈良時代を経て江戸時代まで、それぞれの時代の遺物が出土するような遺跡です。
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現在小倉城がある場所が「勝山」と呼ばれるような小高い丘であり、その麓に紫川から流れる土砂が堆積する、いわば「砂丘」だったと考えられています。遺物は、勝山に住んでいた人たちが、不用品を捨てたような形で、砂丘に堆積していったのではないでしょうか。
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小倉城庭園があった場所こそが「高い浜」なのです。周辺にはこの地が「企救の高浜の浦」であったことの伝承が多く残っています。
そう考えると、企救の高浜の浦がこの地であるなら、小倉という言葉も、この地から始まった可能性もあるなあと考えるのです。
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下屋敷跡からでてきた遺物の一部は小倉城庭園に展示していますし、その歴史が年表にも掲載されています。ぜひ一度、小倉城庭園に足を運んでいただけますと幸いです。
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こちらのnote、今後は「小倉城から歩いて行ける、おすすめうどん屋さんマップ」などを公開する予定です。ぜひフォローしてお待ちください。「私たちのまち”小倉”を考える」の#2も近日公開予定です。