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つきとMOON CALENDARと

■MOON CALENDARについて

 前回の記事では「潮汐表」を用いて、潮の満ち引きとうずしおの関係を確かめました。今回は「つきとうずしおがつながっている」ことを、より深く確認するために、そもそも本当に月の満ち欠けと潮の満ち引きが関係しているのかをMOON CALENDARを使って確かめることにしました。


月の満ち欠けを正確に表現しているMOON CALENDAR

 まずMOON CALENDARについて説明します。このカレンダーは淡路島に住む友人の青木京さんが制作・販売をされています。京さんとは私が2012年に淡路島へ移住してすぐに知り合いました。お会いするたびに山のこと、植物のこと、季節のこと、月のことなど、いろいろな面白い雑談をしてくださっていました。私がチャレンジをすることを迷っている時は「やればわかる。わかればかわる。」と背中を押してくださり、モヤモヤと悩み続けている時は「全部書き出してみなさい。」と道しるべをくださる、大好きで憧れの姉のような存在です。


 実はMOON CALENDARは京さんがデザインされたものではなく、元々はcanyon & beach さんが制作・販売されていました。その頃は京さんが毎年ご友人と一緒にまとめ買いをされていて、2017年版から私も便乗して買わせてもらうことにしました。月の満ち欠けに興味があったというより、京さんの持ち物がどれも素敵で、わたしも暮らしに取り入れてみたいと思ったのが最初です。ですが、その年にcanyon & beachさんがMOON CALENDARの制作を辞めることになり、京さんと、ご友人でカレンダーの愛用者でもあるツギキさん(淡路島で暮らすデザイナーさん)とが制作・販売を引き継ぐことになりました。引き継ぐ際「デザインはいつまでもそのままに」を掲げ、すでに完成されていた美しいデザインのまま、2025年版も変わることなく続いています

 その想いが好きで、私もずっと使い続けていて、毎年自宅用と職場用に1冊ずつ購入しています。うずしおクルーズで勤めていた時も乗船チケットを販売する窓口の隣に飾り、カレンダーを指さしながら、お客様に「今日は満月だから大きなうずしおが期待できますよ」とご案内をしていました。京さんがカレンダーを引き継いでいなければ、きっとてぬぐいのデザインは思いつかなかっただろうと思います。

■MOON CALENDARの見方

 このカレンダーの良いところは想いやデザイン性だけではありません。正確であること。このカレンダーに描かれている月の満ち欠けはとても正確に描かれています。それが今回のてぬぐいでは最も重要でした。少しこのカレンダーの見方をご説明しましょう。まず、このカレンダーは国立天文台が発表する「月の満ち欠けのデータ」に基づいて、その日の正確な月のカタチをカレンダー上で表現することを試みています


日付の下の時刻は月の出入り、18日の下の〇(白い丸)は満月を表している

 日付の下を見てください。数字が書かれていますね。これは月の出る時刻と入る時刻です。このカレンダーでは東京の時間を参考にしています。兵庫県ではこの時間から約20分遅れますが、てぬぐいでは、このカレンダーをそのまま参考にしました。満月の日には時刻の前に〇印がついていることもポイントです。


このカレンダーがどのくらいの正確さを目指しているかは、京さんのnoteを読んでいただくのがよいと思います。「新月から2日目の三日月だけでも4パターンくらい作っています。その理由は月が地球を回る公転速度が一定でないために、月の満ち欠けのペースも一定でないことです。」といったことをデータを使いながらとても丁寧に説明されています。

京さんのnote

https://note.com/aokiworks/n/n0bbedf73acbb


天文のことは知ろうとすればするほど知らないことの多さに気づかされます。そこが面白く魅力的です。ですが、とても今の私の知識では太刀打ちできそうにないので、てぬぐいでは、このカレンダーの正確さを信じ月の満ち欠けとうずしおの大きさに関連性があるのかを調べることにしました。


■つきとうずしおはつながっているかの確認

 その方法として、うずしおクルーズが予測したうずしおの期待度と、MOON CALENDARの月の満ち欠けを比較してみることにしました。方法は、カレンダーに大潮 の日は赤色、大うずの日は黄色、中うずの日は白色、小うずの日は青色のシールを1年分貼ってみました。

うずしおの期待度とつきの満ち欠け1年分比較した2024年のカレンダー

結果「満月と新月の前後は大潮と大うずが多く、半月の前後は中うずと小うずが多いので、大まかにいえばつながっていると言える」ということが確認できました。面白かったのは、中うずが8日間も続いている時があることや、半月の前より後ろの方に小うずが続くことに気づけたことでした。なぜかはわかりません。まだまだ不思議は深まるばかりです(笑)


てぬぐいのデザインの参考にした4月と5月のカレンダー

 


てぬぐいのデザイン調整中の写真。つきの形とうずしおの大きさをデータに合わせてもらうように
デザイナーさんのお願いするための資料。


 1年間を通してみると2024年4月と5月は満月と新月の日に大潮、半月の日に小潮があり、その前後も特にバランスよく徐々に変化をしていたため、てぬぐいのデザインにこの期間のデータを使うことにしました。写真①を見てもらうと、ひとつひとつの月に「4/9 特大」「4/13 大」「4/15中」と書いているのがわかるでしょうか。月のカタチもカレンダーに近づけるようにしました。これで、てぬぐいのデザインが実際に予測されたデータの記録になっていることが伝われば、とても嬉しいです。


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