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005.会ったこともないのに大事なひと
3.11になると決まってなんてことないラインをくれる友人がいる。
元気〜?
最近の双子だよ〜(3年前に双子ちゃんを産んだ)
そんななんてことない連絡。
あれ?
誕生日でもないのにラインなんて珍しいなあ。とおもうと、
あ!今日は3.11だった。と思って、なんだかこころがあたたかくなる。
今日は3.11だね。なんて一言も言わないでなんとなしに連絡をくれる彼女には奥ゆかしさを感じる。
彼女との出会いは15年くらい前かなあ。
20代のときから書いてた某ブログで出会ったので、住んでるところも違ければ、会ったこともない人。でも気が向いたときに手紙書いたり、葉書を書いたり、年賀状書いたり、LINEしたり。たまに贈り物をしたり。不思議とほそーくながーく続いている。
一度だけ彼女と電話で話したことがある。
それは、3.11の夜だった。
私が住んでる地域は内陸だったのでライフラインは地域の関係(地域によって早く復旧するところもあれば遅く復旧するところもあって、要するに順番)で一ヶ月ほど全部そろわずストップだったにせよ、家族はみんな無事だった。
地震がおこった日の夜、夜中の12時頃繋がりづらくて使えないスマホが急に鳴ってビックリしたのを覚えている。ライフラインがまったく機能しない中で、TVすらも見られない状況で正直世の中がどうなっているのかとか、何が起こってるなんていうのはまったくわからなくて、とにかくこの頻発する余震をどうにかしてほしいと思っていたところだった。
(こんなに揺れたらもうそろそろ家が潰れるかもしれない)
そんなことを思いながらいつでも逃げられるように真っ暗闇の中で外用の服で布団に入っていた。
ピロピロピロ(着信音こんなのだったかなちがうかな。笑)
彼女の電話だった。
出た途端、泣きそうな声で彼女が
「よかったぁ〜」って言った。
心底心配してくれていたことが声で伝わってきた。
何回かけてくれていたのだろうか。聞かなかった。というか、聞く余裕すらなかった。
でも、気持ちが声でありありと伝わってきてそれだけで嬉しくて泣きそうになった。
そのあとたくさんの支援物資も送ってくれた。
人のあたたかさとはこういうことなのだなと思った。遠く離れて、というかほぼ日本の端と端だけど、顔も見たことない人にここまでできるって、その原動力はなんだろう。と、あとから俯瞰した。
が、考えても考えても、心からの透明で純粋なものしか見えてこなかった。
ただただ、彼女の存在に感謝した。こんなに人に想われたことがあっただろうか。遠くから元気玉をもらった。
ドラゴンボールで、悟空が元気玉と言って手のひらを空にかざし世界中の人や生物からパワーをもらって敵を攻撃するという技があるが、アニメだけの話だと思うけど現実世界でもそれってあることだよなあとしみじみ思うことがある。あながち間違いじゃないなって。バカに出来ないなあって。
「おばあちゃんになってもずっとよろしくね」
ってこの前彼女が言った。
そんなのこっちのセリフだよ。
いつも見返りを求めず惜しみなくあたたかい何かを遠くから与え続けてくれる数少ない私の大事な人。