【連載】家族会議『父方の親族を知らなすぎる』
「親戚で一番幸せな家族になろうよ」のひと言から始まったわが家の家族会議。その様子を、録音記録をもとに書き記しています。
前回の記事はこちら。
家族会議9日目#5|父方の親族を知らなすぎる
――家族会議をやってきて、つい時間を忘れて2時間近く話をしてしまうという問題が浮上した。そこでこの日から、タイマーを設定することになった。
父:
1時間たったの?
わたし:
1時間になったわ。
母:
今は話さなくていいんだけど、今度はおばあちゃんとの関係がどんな感じだったのか聞いてみたいなって。お父さん、おばあちゃん子だったって言ってたから。
父:
おばあちゃんって、おっぴーさんな?ん?俺のお袋との関係?
わたし:
違う。キセルのおばあちゃん。
――どの家庭でも同じだろうか?子供に合わせた呼称になるから、ちょっと混乱するときがある。
わたしにとっての祖父母は、父や母にとっての父親母親になるのだが、父も母も、おじいちゃん、おばあちゃんと呼んでいる。
「おっぴーさん」もしくは「おっぴさん」とは東北弁で、曾祖父母のことを指す。わたしにとってのおっぴーさんが、父や母にとっては祖父母だ。
母:
今度でいいんです。もう一時間だから。兄弟とかの話があったけど、おばあちゃんにも面倒見てもらったんでしょ?
父:
おばあちゃんの旦那さんは全く記憶にないんだよ。
母:
もう亡くなってたのかな。
父:
亡くなってたと思うね。
母:
やっぱいろいろ思い出はあるんでしょ?おばあちゃんとそれなりにね。
父:
あんまり、うっすらとしかわかんないけど、こないだ言ったようにサナダムシ尻から引っ張り出してくれた。
わたし:
それって何歳ぐらいの頃ってこと?
父:
あれはね、小学校入る前。
わたし:
入る前?覚えてるんだ?取り出してくれた瞬間を。
父:
知ってる。虫も見た。「うわ!こんなでかいの体の中入ってんだ」と思ってさ。
母:
昔はね。
わたし:
おばあちゃんのおうちは近かったの?一緒に住んではないんだよね?
母:
一緒に住んでいたんだよ。
父:
おばあちゃんのところにうちのお袋が養女に行って、それでうちの親父がお婿っていう感じですな。
わたし:
そっか。本当の跡継ぎの人は亡くなって?
母:
そこの夫婦は、それこそ別家か何かで、そこで2人だけで始まったけど、子供がいないから、最初は(祖母の)お姉さんが養女にいって。お姉さんが若くして亡くなって、今度はおばあちゃんがっていうことだから。
わたし:
そうか、そうだ。なんか聞いたことある気がする。
母:
昔、泉たちが小さいときに、よくトウモロコシをもらいに行った
わたし:
トウモロコシのおじちゃん?
母:
その人がおばあちゃんのお兄さんっていう人だね。そこが実家っていうか。
わたし:
そっか。もう全然覚えてないんだけど。トウモロコシのおじちゃんっていう、そのネーミングしか。
母:
夏になるとそこに(帰省したついでに)挨拶に行くって感じかな。そして行くと、トウモロコシをいっぱいもらって帰ってきて、おばあちゃんのうちで茹でて、みんなで食べたんだよね。
父:
だからトウモロコシのおじちゃんが亡くなってから行かないなぁ
わたし:
そっか。トウモロコシのおじいちゃんは、おばあちゃんの元実家の跡を継いだ人ってことか。そうなんだ。ちょっと家系図欲しいね。
でも今日はやめないと。
――父は9人兄弟の末っ子だから、わたしにとっての祖父母はおっぴさんでもおかしくない年齢だ。だから父方のおっぴさんは、わたしが生まれたころにはもう亡くなっているし、トウモロコシのおじちゃんの記憶もほとんどない。
実は父方の親戚の関係性を、よく把握していないのだった。
- 家族会議9日目おわり -
父が自己愛性パーソナリティ障害になった原因は、幼少期にあるのだろうと推測している。だから家族や親戚との関りをさぐろうと、いろんな話を聞いている。
父が満たされなかったのはなぜなのか・・・。
父の周りに愛はなかったのか・・・。
聞いてみると、案外、父を可愛がってくれた人もいることがわかる。それでも父は、母親に執着し続ける。それはなぜなのか?
ずっと疑問だったけど最近、それは強い支配が原因だったのでは?と思うようになった。
母親に気をつかうのも、愛されたいよりも気に入られるため。母親に褒められようと努力するのも、愛されたいからではなく怒らせないため。
上官におべっかを使い、お気に入りになることで自分の立場の安全を確保する部下のような。そのほうがしっくりくる。
まあでも、こんなことを父にぶつけても認めない。今度は父の、男としてのプライドが許さないだろう。
心療内科で父は、「子供時代、親父がこわくて生きづらかった」と語っている。それが男として、許せる範囲なんだろう。男親が怖かったまではギリギリ言えるけど、母親が怖くて生きづらかったとは、口が裂けても言えないのだ。
ここが本音として語られない限り、父が自己愛性パーソナリティ障害を克服することもないだろうと思っている。
<次回に続く>
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