【連載】家族会議『怖くても受け止める覚悟』
「親戚で一番幸せな家族になろうよ」のひと言から始まったわが家の家族会議。2020年1月6日から約4ヶ月に渡って行った会議の様子を、録音記録をもとに書き記しています。
前回の記事はこちら。
家族会議17回目#7|怖くても受け止める覚悟
――自分がされて嫌だと思うことを、父は無自覚に人にする。だけど自分がそんな人間であることにも無自覚だ。
されて嫌だった具体的エピソードを話しても、「覚えてない」「忘れた」と言って済まそうとする。
そんな父にわたしは、「忘れたって言うと、相手はさらに傷つく」「覚えてなくても思い出す努力は必要」「思い出せなかったとしても、なんでそんなこと言ったのか考えてみてほしい」とたたみかけた。
こうした反論の余地がない話をすると、父は反省するふりをして被害者意識に入り込む。
それならいっそ、反論して欲しいのがわたしだ。
わたし:
確かにさ、怒鳴られたりするのはわたしもきついんだけど。でもある程度は、声が大きくなるのも致し方ない部分もあるかなと思ってて。だからまあ、わたしがいる時だったら言いたいように言っていいんじゃないの?って。
2人の時はまずいと思う。それはお母さんが嫌なことだから。
――父はカッなると大声で威圧する。それが嫌だったと母に言われてから、怒鳴らないように我慢するようになった。
これは、父の最大の努力といってもいい。
父:
ことごとくだもんなぁ。あの、だからこの間言ったのは、話し合いが始まる前に宣誓してね、大声を出さないようにこれからやりましょうと。いうことを毎回宣言して。いこうと。いうふうな話も言ったことあると思うんだけど。
わたし:
あとはまあ、2人で話すときは、昔喧嘩した話とか、食い違いの話とかしないのと‥‥
だけどわたしがいる時は、もうお父さんもある程度言ってほしいなって感じかな。負けないから。わたしも負けない自信があるから言っていいよって。
それでもう、正論とか正論じゃないとか関係なく、とにかく全部、言いたいこと言う。出し切る。
出し切ればすっきりはすると思うんだよね。納得はいかなくても。
もちろん途中で終わったりするとむしゃくしゃする気持ちもあると思うけど、ただ、変なわだかまりは残らないっていうか。言うだけ言っとけば。言うだけ言ったから。
その時はカッとなったり、ヒートアップしてわーって言っても、とりあえず言うだけ言えばスッキリするし。後から冷静になって自分を振り返ると「あ、なんか自分おかしなこと言ってたな」って思う時もあるだろうし。わたしもね、あるし。
だけど出すだけ出して、後から冷静になって考えるでもいいっていうかさ。
で、冷静になって考えて、自分間違ってたなって思ったり、やっぱそっちがおかしいなって思ったら、また話し合えばいいわけよ。納得いかないことがあれば、またそれを持ち出して話し合えばいいし。納得いくまで。着地するまでね、永遠に話せばいいし。
父:
謝ったりはするわけ?
わたし:
もちろん自分が「あ、間違ってたかも」って思ったら、それは謝った方がいいよね。でも自分が間違ってたと思わなければ、謝らなくていいっていうかさ。だってもう、それ嘘じゃん。そんなの謝ったって。思ってないんだもん。
父:
そうだね。
わたし:
だからまあ、どっちも譲らなければ、永遠にどっちも謝らないし、永遠に着地しないかもしれないけど、でも出し切っていくと、わかる。最低限、相手が本当に思っていることだけは理解できる。納得はできなくても。
意見が同じにならなくても、考えていることだけはわかるから、受け入れることはできるっていうか、相手をね。
だから今みたいに黙って聞かれちゃうと、もうこっちも言えなくなっちゃうよね。しゅんってした感じになって、ダメージ受けまくってるような、そんな感じで無反応で聞かれてると。こっちもセーブせざるを得なくなる。言うことを。
だったらもう、お父さんも反発してきてもらったほうが、まだマシかなって感じかな。わたしは。
――男性は女性の涙に弱いというけど、それと同じ。父は涙こそ見せないけど、まるで弱いものいじめをしている気分にさせられる。
父も母が、泣くのは嫌だと言う。
人にされて嫌なことを、父はやる。
- 今日はここまで -
わたしは父に怒鳴ってほしいわけじゃない。
父が怒りに震え、大声で怒鳴れば萎縮する。
だけどそれよりも、さらけ出して欲しい。
気持ちを。
そのためだったら、怖くても受け止める覚悟はある。
「今日はそろそろ終わりにしようか」と言ったわたしに、父は「いや、もう少し話したい」と言った。
なにかは、響いたのか‥‥
<次回に続く>
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