![見出し画像](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/153552537/rectangle_large_type_2_81a9c421e9b785ff6dcd6cb4627601a4.png?width=1200)
【連載】家族会議『人付き合いが苦手な夫婦』
「親戚で一番幸せな家族になろうよ」のひと言から始まったわが家の家族会議。2020年1月6日から約4ヶ月に渡って行った会議の様子を、録音記録をもとに書き記しています。
前回の記事はこちら。
【家族構成】
父:自己愛性パーソナリティ障害。頭に血が上ると大声で威圧する。
母:自己肯定感が低い。自分の意見を言えない。
姉:うつサバイバー。心理カウンセラーをしている。
わたし:性犯罪サバイバー。家族会議を主導する。
※遠方に住む姉は家族会議には参加していない。
※家族会議の目的は、夫婦仲の改善と、うつを抱える姉の気持ちをわかってあげられるようになることである。
家族会議15回目#6|人付き合いが苦手な夫婦
――この日は初日の録音を振り返りながら、感じたことや気になったことを話し合っている。
今日のブログは昨日の続き。
発端は父の発言だった。
父は、初めて会社の人を家に招いたときの母の対応を見て、「もう家に人を呼べない」と思ったいう。
父から見た母の対応はこうだった…
自分の能力をフル回転して手厚く迎えた
父の顔をつぶすことなく最大限のもてなしをした
予算をかけ過ぎていた
緊張して硬くなっていた
総じて「気を遣いすぎ」だったらしい。
父としてはフランクな感じが良かったから、「もう呼べないな」と思ったという。
それに対し母は…
精一杯もてなすのは悪いことではないよね?
フランクとか、イメージを共有されたことはない
協力する気持ちではいた
知らない人が来るから緊張していた
会話に入るべきかで困っていた
父がお客さんとの間を取り持ってくれればよかったと思う
という気持ちを吐露した。
ここまでが昨日までの話。
母:
私パート行くようになって、会社の人にそういう話(父が会社の人を家に連れてくる話)をしたときに、会社の人から「会社の人をうちに呼ぶなんて嫌だ私。1回もそんなことしたことない。呼びたいって言われたら嫌だっていうもん」っていうのを聞いて初めて…。
なんていうか、呼びたいって言われたら呼ばなきゃいけないのだと思ってたけど、断っていいんだ!みたいな。断るってこともあるんだみたいなことを初めて知って、そのあと断ったりしたことがあったかな。
わたし:
うん。
母:
なんか断れるようになったっていうか。
わたし:
人をおもてなしするのが苦手な家なんだよね。多分。
母:
というかそういう性格だわ。
わたし:
性格ね。でもそれはお父さんも分かる面があるんじゃないの?お父さんも緊張するじゃん。わたしの友達が来るって言ったときかもさ。
父:
緊張するかな?
わたし:
なんかもう、そわそわ。2人ともそわそわしちゃって、本当(親に)気遣うわって感じだったよ。
母:
お姉ちゃんからも言われた。雰囲気がね、超よくないって。
わたし:
緊張…なんだろう?違う表現かな?どんな気持ちだったの?ちなみに
父:
いや
母:
やっぱどうしたらいいかわからないとか?
父:
普通に
母:
何を話したらいいかとか?
父:
何を話したらって、ほんなこと考えてないよ。話出たやつに乗っかるか、わかんねときは黙ってるか。
母:
でも緊張してるよ?お父さんもすごく。
わたし:
緊張と不安?
父:
不安でてきたぞ?また。
――茶化すような言い方をするけど、私の友人を家に招いたとき、一番落ち着かなかったのが父である。
わたし:
不安かな?って思ったの今。
もう2週間前ぐらいから毎日のように「何日に来るんだっけ?」って。「誰が来るんだっけ?」って。もうほぼ毎日、同じことを何回も聞かれて。
父:
あ、そう?
わたし:
うん、だからあのとき表とか作ってさ。
父:
表?
母:
(人によって)来る日がずれてたりしてたからね。
わたし:
来る日がズレてたりもしたし、なんか料理は「わたしが作るよ」って言ってるのに何回も聞いてくるから。何を作るかまで聞いてくるから、メニューも全部書いて。
母:
そうだ!笑
わたし:
なんか「わたしが作るからお父さんは別に気にしなくていいんだよ」って言ってんのに把握したがるから
父:
何したがる?
わたし:
把握。全てをね。それって不安だよね?なんか知んないけど。
父:
そうかもしんないね。
わたし:
うん。今思ったけど。
やっぱちゃんとしたいっていうか、緊張とか不安とかがすごいあるんだなって。
なんか前日ぐらいになって、急に「お風呂のこの茶色いの何とかしたい」とか言い出して、急にわたしが全部磨いたりとかしてさ。
父:
ありがとう。
わたし:
うん。だからなんか緊張なのか、不安なのか。
父:
不安だろうな。
わたし:
不安だね。
しかも綺麗にしておきたい。ちゃんと料理とか準備したい。っていうのは、良く見られたいとか、よく思われたいみたいなところかな。
母:
それはあるよ。
わたし:
あるよね。だからお母さんが、お父さんの会社の人が来たときに完璧なもてなしするっていうのも、自分もよく見られたい。プラスお父さんの顔に泥を塗らないようにしなきゃいけないとか、いろいろあるからより豪華に
母:
うん
わたし:
きちんと準備してお迎えするみたいなことになるわけで。だからそこは、お父さんも同じ感覚。
母:
うん
父:
そうなのか知らんかった。
わたし:
じゃあ無意識にかな?ちゃんとしなきゃっていう。
――自分でも無意識に行ってしまう行動でも、後々振り返ることができるのが一般的だろう。それを「知らんかった」ということは、もう人格障害としか言えない。
知らぬ間に、シンパイの人格が出てきてやったことなのだろう。
わたし:
こういうわが家に対して、友達の家は何にもしないからね。
父:
うん。フランクだわ。
母:
フランクがわかるの?
父:
沖縄の人って本当そう。
わたし:
わたしが行くからって特別に掃除とかしない。ご飯とかも、友達が来るからこれとか、あれとかじゃない。行ってからわたしも一緒に作るぐらいっていうかさ。そんぐらい。
でも、うちはうちで、おもてなしするのは全然駄目じゃなくて、うちのスタイルでいいと思うんだよね。
だけどそこに、どう思われるかとか、こう見られたいとか。
人を喜ばせたい意識じゃないところがあるから、緊張するんじゃないかなって。純粋に喜ばせたいだけじゃないから重いし苦しいし、ちょっと鬱陶しい感じになっちゃうんだよね。
母:
うんうん。人見知りなんです。
だから、お客さん来るとき、もちろんその掃除とか料理とかも大変は大変だけど、それはいいわけよ。
どうコミュニケーション取るかっていうところが一番なんか、苦手かなって感じだな。だから知ってる人ならいいんだけど、知らない人ってどうしたらいいかわからない。だから、ある意味、私の友達って連れてこない。
父:
いいんだよ連れてきて。
母:
連れてくるって感じしない。なんか外で会った方が気楽って、やっぱなってるな、自分は。
――そうだ。そもそも父が、わが家に会社の人を連れてこようとすること自体、空気が読めていない気がする。
「もう呼べない」と思ったなら、外で食事するほうが気楽だと考えるだろう。そのわりに、その後も何度か会社の人を連れてきている。フランクがいいとか、そんなイメージを共有することもなく。
母:
お父さん的には、それまで、結婚するまでは友達とどんな付き合いしてたの?友達の家に行ったりとかも、よくやってたっていうことなの?独身同士じゃなく。
父:
独身同士でよ。
母:
独身同士だったら気楽かもしれないけどさ、家庭に呼ばれて
父:
いや、家庭に呼ばれても行ったし。しかもお客さんのところによく行ってたわ。泊ってきて。
で滋賀県のね、お客さんのとこに泊って。で牛ステーキを用意してて、それいただいたんだけど、知識がないんだ俺そのとき。近江牛準備してるんだよな。次の日お客さんから、「夕べのやつ近江牛だよ」と。近江牛だよって言われてもピンときてなかった。何かでっかいステーキ。美味しかった。
わたし:
美味しかったは美味しかったんだね。笑
父:
うん。
わたし:
近江牛に値する反応できなかったってことね。知らなくて。
父:
そうそうそう!
わたし:
でもその人たちなんてすごいじゃん。近江牛用意してたんでしょ?
父:
うん。
わたし:
超!超おもてなしじゃん。
お父さんはそういうのじゃなく、(自分の家に人を招くとくは)フランクな感じにしたいと思ったってこと?
父:
フランクな感じで行ったから。
わたし:
その家って、フランクじゃなかったってことじゃないの?
父:
緊張してやったのかな?それ。何も感じなかったけどね。
わたし:
そうなんだ。「近江牛だったんだ。へー。」くらい?
母:
これ、すごい気遣ったわけじゃんね。
父:
お客さんが気遣ったんでしょ。わかんなかったけど。
だけどお客さんから「うちに来て、ちょっと1泊でもして食事しない?」なんて言われてたから、「行きますか~」って言って、そんなフランクな感じ。
そうじゃなかったらね、普通のお客さんで構えてやるよなやつだったら、俺断るわ。
母:
その人はそういう人だったんだね。
父:
フランクにやってたから、仕事場も。
わたし:
お父さんもそういう感じで人を迎えたかったってことだね。そうだね、共有できてたらよかったね。そういう思いを。
父:
そうだね。惜ししかった。これからそういうふうにしましょう。
――仕事仲間とはフランクに家に行ったり来たりしてたという話の流れで近江牛を出された話、つまり招かれた先の家の人がめちゃめちゃ気を遣った話が出てくるからややこしい。
結局父が言いたいのは、自分が緊張するのが嫌だ!…ということか?
母:
何だろう、お母さん側からお父さん見て、お父さんも決してフランクじゃない感じ。
わたし:
うんうんうん。
母:
友達を呼んだときに。私の緊張感が伝わってっていうのもあるだろうけど
わたし:
お父さんの緊張感もお母さんに伝わってきて、お母さんも余計緊張するとか。
母:
「友達いっぱい呼ぼうね」って言ってるけど、本当にそうなのかなって今思うけど。
わたし:
向き不向きってはあるよね。
――まあ、向いていなくても、友達がいっぱい集まる家庭にあこがれることはあるだろう。
むしろ苦手だからこそ、そんな雰囲気にあこがれるのではないだろうか。
母:
それとも全く気遣わないのかな。気遣わない人は何も考えないから、話が弾もうが弾まないが、雰囲気がどうでも気になんない人は気になんないのかな。そっちの部類かな。
でも緊張してたことに気づいてたって言うんだから
わたし:
だからまあ、自分都合の気の遣い方しかできないわけよ。だから自分本位な言葉しか出てこないし、気の遣い方もそれしかできない。相手のことを考えたり状況を把握して、最善な立ち回りをするような気の遣い方はできないっていうか。
だからやっぱ人づきあいが苦手だし
母:
人付き合い苦手だと思うよ。
わたし:
うん。呼ぶのもなかなかあまり向かない。
母:
わたしもだけど。
――母の不満はまだまだ止まらないけど、ブログでは割愛する。
- 家族会議15日目終わり -
この録音を振り返って冷静に考えてみると、父も母も、内気で人付き合いが苦手なほうで、そんなふたりの言い争いだったんだなと思う。
父は、自分のほうが上手く人と付き合えることにしたかっただけ。母を貶めて優越感に浸りたかっただけだ。
けど貶められた母としては、「なによ!あなただって人付き合い苦手なくせに!」と言いたくなった。
そりゃそうだろう。
問題なのは、父が人付き合いが苦手なことに、気づいていないことである。
<次回に続く>
これまでの家族会議記事はマガジンにまとめています。お時間あればぜひ、わが家の会議をのぞきに来てください!
いいなと思ったら応援しよう!
![心乃泉](https://assets.st-note.com/production/uploads/images/138991528/profile_f0ab4c0c5d47dfcafce0877fd2682c5b.png?width=600&crop=1:1,smart)