【連載】家族会議『噛み合わない⑤』
「親戚で一番幸せな家族になろうよ」のひと言から始まったわが家の家族会議。2020年1月6日から約4ヶ月に渡って行った会議の様子を、録音記録をもとに書き記しています。
前回の記事はこちら。
家族会議27回目#8|噛み合わない⑤
――ここまでの話し合いは以下の通り。
わたし:
お父さん的にはこの状態で、家族会議やっていって、やっていく先に何かがあると思えるの?
父:
思える。
――嘘つかないでほしい。っていうか、現実を見て欲しい。
わたし:
思えるんだ。うーん‥‥
父:
これをやってって、俺が変わるんじゃないか思ってるわけ。それを期待してんだけど。
――ずっと期待しているのはこっちだ。「変わるんじゃないか」と受け身な時点で変わるはずもない。
わたし:
じゃ普通に、とにかくお母さんの話とかを、1週間ぐらいはやって、お父さんはそれを見物するみたいなことをやってく。のほうがいいなって感じ?
父:
いやいやいやいや。参加できんなら、参加というか、今までは口出しちゃいかんと思ってたから。俺が勝手にそう思ってたから。そうじゃなくて一緒にやっていいんだよっていうんだったら、大いに参加するよ?その方がより勉強になるだろうと思うんだけど。
――この期に及んで、「一緒にやってよかったの?」と他責にして、「大いに参加するよ?」とまるで他人事のように言ってくる。
一番問題を抱えているのは父なのに。
わたし:
‥‥わかった。そうする?そうするっていうか、まあその‥‥うーん‥‥
父:
ちょっと、トイレ行ってくるから。
――父、一旦退出。
わたし:
わたしおかしい?
母:
ううん。
わたし:
お父さんおかしいよね?
母:
おかしい。
わたし:
なんか、言ってることが支離滅裂だなって。なる‥‥
――父、戻る。
わたし:
ひとまずさ、お父さん的には今まで通りやってもらった方が良くって、で「時間をちょうだい」って言ったのは、子供の頃のことを自分なりにまとめたいからなだけであって、別にいっぱいいっぱいじゃないと。
父:
うん。
わたし:
じゃ、今までのように、今日みたいに、言いたいこともどんどん言っていいわけね?わたしがお父さんに対して。
父:
いいですよ。
わたし:
‥‥なんか、それが全然さ、「いいですよ」って言ってるけど、今まで言ってきたことも受け止められてないだろうなとは思ってるから。もうこれ以上積み重ねることに、こっちも相当疲弊してきてるんだけど。
だけど、普通にやっていくってなると、どんどん言っていくことしかないっていうか。そういう感覚なのね、わたしは。ちょっとあまりにも違いすぎちゃって考え方がね。
父:
うん、違いは感じてる。多分お母さんと近いんじゃないかな考え方が。
わたし:
うん‥‥近い‥‥うーん
母:
うーん‥‥近いのとも違うと思うけど
わたし:
なんかそれもさ、そのときによっては「俺と考え方似てる」って言ってみたり、するよねって思う。「基本的に一緒だ」とか言ってくることもあれば、今みたいに「違う」みたいな。そのときそのときなんだよね、お父さんって。
父:
そういう人なんでしょう。
――父の矛盾を追求していくと、「そういう人なんでしょう」「そう言うんだからそうなんでしょう」と省みることをしない。
わたし:
‥‥こういうことがさ、毎日続いていって大丈夫なの?って思うんだけど。
父:
大丈夫なとこまでは大丈夫じゃない?大丈夫じゃないときは言うから。
――すでに大丈夫そうじゃないから言っている。
わたし:
うーん‥‥。まあ、お父さんも大丈夫かなって思うし‥‥。
なんか、お父さんはわかんないだろうけど、わたしが相当きつい状態でもあるのね。
父:
あ、そう?
わたし:
それだけは覚えといてって感じかな。「相当やるのがきつい状態だけどやるね」っていうのだけは言っとくねって感じかな。だけど言うことは言うね。
父:
一旦休んだ方がいいのかな?
――わたしが「きついんだ」と言っても、それを受け止めることをせず、わたしの気持ちを理解しようとせずに「一旦休む?」と他人事。
わたし:
うーん‥‥わかんない。
休んだとして、次に、じゃあどうなったらまた再開できんの?っていう話で。それは本当、わたしの気持ちがわかってもらえたときかなって感覚なのね。で、そう思ったときに、それはそれで相当無理な感覚もあるから。だったらやってった方がいいかあ。みたいな感じかな。なんか今はそんな感じかな。
父:
そっか‥‥。
わたし:
ここまでやってきたからね。
母:
書いて。
父:
ん?
母:
書いて。泉が相当やられてるって書いて!泉の気持ち考えて。
――母に促されメモを取る父‥‥。
わたし:
とりあえず、今まで通りやってく?
父:
今まで通り進めましょうか。
わたし:
うん‥‥。
― 家族会議27回目おわり ―
「この家族会議は最後のチャンスなんだ」と言う父に、不退転の覚悟をもっていると勘違いしてしまう。
父のいっぱいいっぱいな様子を見ていられなくて、「一旦休もうか」と提案しても「やる」と譲らない父には、誰もが父に「相当の覚悟がある」と思うだろう。
そんな父の言葉を素直に受け止めてきたわたしは、苦しみもがきながら本音をぶつけてきた。けど、父にはその覚悟がなかった。
家族会議の席につく。という既成事実を作ることにだけは不退転の覚悟を感じるけど、その態度は国会で居眠りしている議員と同じ。
父との会話は「のれんに腕押し」だ。
家族が本音でぶつかって行っても、理解しようと歩み寄っても、怒りをあらわにしても、優しく寄り添っても、まるで周りに集るハエを手であしらうような態度だ。
余りにしつこいと、ハエたたきでピシャっとやるように怒鳴って終わり。
そんな父が「わが家に一番足りてないのは気持ちのコミュニケーションだ」と、たいそう立派なことを言ってきたから、この日の家族会議は紛糾したのである。
<次回に続く>
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