【連載】家族会議『ベビースキーマ』
「親戚で一番幸せな家族になろうよ」のひと言から始まったわが家の家族会議。2020年1月6日から約4ヶ月に渡って行った会議の様子を、録音記録をもとに書き記しています。
前回の記事はこちら。
家族会議29回目#2|ベビースキーマ
母が子育てを振り返ることで、わが家になにが起きていたのか、それが見えてくるようになった。
厳しい母と、自分勝手な父。
そんなふたりに翻弄される姉。
これが基本構造である。
母:
本当に、3歳ぐらいまではすごいかわいがってたね、お父さん。もう本当に。
どっちかっていうと‥‥かわいいがるっていうか、小さい子が好きなのか。だから泉が生まれたら今度は泉みたいな。‥‥なんだろう。これから大人になる子供を育てていく。というよりは、何か自分の‥‥
わたし:
ペットみたいな感じ?
母:
うん。どっちかっていうと。ただかわいいから。
――そういえば、そうだった。今、姉の鬱や家庭崩壊の全ての根源と言われる父だが、暴力をふるったり、四六時中怒鳴っていたりしたわけではない。むしろ小さいときは、溺愛するような態度だったのだ。
ベビースキーマ。ということだろう。
父は、幼い子供や猫、動物の赤ちゃんなどには目がない。
母:
この子が社会で生きていくように‥‥ね、小さいときから何か教えることとかあるじゃん?そんなことはあんまり頭になくて、ただ、自分が楽しい。とにかく3、4歳ぐらいまではすごい、休みの日はいつも一緒に連れて歩いたり。すごい可愛がってはいたな。それが、泉が生まれたら泉に、って感じ。
わたし:
ふーん。勝手な親だね。
母:
そういう意味でも、今まで1人だったのが2人になって、親の愛情を独占できなくなるとかっていうのに関しても、さらにお姉ちゃんの気持ちとしては、落差があったかもね。
ちっちゃい子供だからさ、2番目に生まれた子のほうが。やっぱり、どうしても手もかかるし、お姉ちゃんに我慢させることもあったし。
それで思い出すのは‥‥今話が飛ぶようだけど
泉が生まれたばっかりで、お姉ちゃんは、赤ちゃんが来たから嬉しかったと思うのね。それで、ほっぺにちょっと触ってみたり、とかしてたの。そのときに「駄目だよ!触っちゃ!」とかって、言ったことを覚えてんだけど。‥‥なんかあれも、お姉ちゃんからとったら‥‥さらに何か。
もっとさ、「触るときはここ触るんだよ」とか「こうするんだよ」とか、「綺麗な手でね」とか、そんなふうに言ってもよかったよね‥‥。
わたし:
そうだね。
びっくりしちゃうよね。
母:
うん。びっくりしちゃうし、何か嫌な感情が起きてくるよね。
本当、親次第だと思う。当たり前だけど。一つ一つのことに関して。そのときどうしたかとか、どう言ったかとかさ、どう注意したかで、同じことが起きてても全然それは、印象の残り方も違うと思うし。
‥‥なんか私としては、変な触り方をされて、赤ちゃんがどうかなっちゃうっていう、そっちの方にいっちゃって。‥‥そんなことしないと思うし、それは教えてあげればいいだけのことだったのになって。今思うと。
そうすれば‥‥。お姉ちゃんだって赤ちゃんを迎える気持ちでいたわけだから。喜んでたわけだから。ぜんぜん違う風になるよね。
わたし:
そうだね。びっくりしちゃった。ね。
母:
「触っちゃ駄目なんだ」みたいに、なる。なり過ぎるのもね。‥‥今思うと。
なんかとにかく、こっちからもあっちからも追い詰めた感じかなあ。
― 今日はここまで ―
3歳ぐらいまでのわたしたちを可愛がっていた父は、「ベビースキーマ」で本能をくすぐられるタイプだといえる。
そこで幼い存在を「守り抜こう」という意欲が搔き立てられたならば、父は順当に、愛情たっぷりの素敵なパパになれたのだろう。
こういうところが我が父の、「なんかもったいない」ところである。
幼い存在をかわいいとは思うけど、守りたいとは思わない。
父が「守りたい」のは、自分のことだけである。
<次回に続く>
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