【連載】家族会議『天の邪鬼』
「親戚で一番幸せな家族になろうよ」のひと言から始まったわが家の家族会議。2020年1月6日から約4ヶ月に渡って行った会議の様子を、録音記録をもとに書き記しています。
前回の記事はこちら。
家族会議24回目#5|天の邪鬼
――今回は、父の幼少期の親との関係についての話の続き。
わたし:
おじいちゃんが愛に飢えた人だったのかもしれないしね。なんか、おじいちゃんも愛のある接し方とか、愛情を持った心の通わせ方を知らなかったのかもね。それこそ受け継いできたものなのかもしれないし。
おじいちゃんがそうであればさ、おばあちゃんとおじいちゃんの関係を考えたときにも、そういう愛のある夫婦ではなかったんじゃないかな?って何となく想像がつく。子供に対してだけそうだったとは思えないなって気がして。
そういう意味でもより、お父さんは母親と距離が近く感じたかもね。小さいながらに、愛情が注がれてないように見えるおばあちゃんに対してかわいそうだなって思う気持ちとか、自分も同じように怒られてばっかりで、怒ってばっかりのおじいちゃんで怖くて。こっちは仲間みたいな感覚っていうか。
親の夫婦関係がそうだったとしたら、お父さんは、子供に対する愛のある接し方も知らないし、夫婦が愛のあるコミュニケーションを取る、その取り方も知らないってことになるかなって。それが、このお母さんとの関係なのかなって思うわけよ。どう?
父:
いや、私はそうかもしれない。それが全てではないと思うけど。
わたし:
うん。それはお母さん側の問題もあるよっていう意味?
父:
もちろん!
わたし:
そうだね、そうだとは思う。お互いがってことだと思うけど。でもひとつとして、知らないっていうのはあるのかな?って。
ただまあ、どっちかっていうとおばあちゃんとの距離感の方が近くて、おばあちゃんの気持ちの方がわかったと思うんだけど、でもおじいちゃんみたいなお父さんになったわけなんだよね。
だからもっと、そのときにいろんな気持ちを感じたり、おばあちゃんの気持ちに寄り添っていたら、同じことできないっていうことにはなったはずだよね。
父:
う~ん、あのねえ。もう少し考えさせてくんない?
今日俺たまたま、これ(親父が常時ガミガミしていること)思い出したとかいうことで喋ったけども、そのことで何か全て結論出されてる気がするわけよ。そんな軽いもんかい!?と、いう気がすんの。
わたし:
うん。全てとは言ってないけどね。
父:
いや、それはそうだけどさ。だってほとんど結論出してんじゃない。夫婦関係もそれだ。親子関係もそれだ。‥‥そうじゃないような気がする。
母:
今日のだけではないと思う。あの、長い間、私達が生活してきたじゃん?それを見てて思うこと
父:
いやそうじゃなくって!
だって昨日だって、ある程度方向性がなんか出すんだよ泉は。今日は今日で方向性だして
わたし:
違うことは言ってないよね?
父:
ん?
わたし:
違うことは言ってないよね?って。
父:
違うことは言ってない‥‥
わたし:
基本的に毎回、ああやっぱりなって思う感じなんだもん。
父:
そうですか
わたし:
うん。エピソードを聞く事に、何か裏づけされていく感覚。
父:
ふ~ん、じゃ本当なんだろうな。
わたし:
ただもちろん、それが全てだとは思わないし、そうとも言ってない。今の話聞くと、こうこうこうかな?どう?って、言ってるだけって感じかな。
確かに今は結論っぽく言ったかもしんないけど、でもなんか毎回お父さんって、「ゔ~んゔ~ん」っていうだけだから。だからこのエピソードから考えて、こうだったら納得いくのかな?これだったらしっくりくるのかな?って思いながらいつも言ってる感じかな。アプローチの一つっていうか。このエピソードから考えたらわかりやすいのかな?このエピソードからだったらこうかな?どうかな?って。
母:
お父さんが「それか」って思えるような
わたし:
うん、フィットするものを探してるって感じかな。
母:
そのためにいろいろ。
父:
ま、考えさせてくださいよ。やっぱりそういうふうに言われた。言われてね、ショックを受けるんだわ。俺はこうだったのかと。そのショックからまず立ち直って、立ち直るのに時間が欲しいわ。立ち直る前に次から次へっていう感じなんだ今な。
わたし:
あ‥‥一回それ言ってほしい。
全くショックを感じてないのかと思ってた。「いや」とかって反論ばっかり言ってくるから、ショックすら感じれてないのかなって思っちゃう。
父:
ショックですよ。
わたし:
ごめん、わかった。ショックだったんだね。そしたらなんかさ、そのショックな気持ちから聞いていきたい。
父:
ちょっと休ましてくんねえか。
わたし:
うん。わかった。じゃ今日は終わりにして明日にする?
父:
まだ時間あるならお母さんやっていいよ。お母さんがなかったら、ショックなことから聞いていくっていうんだったら、そこやってもらってもいいし。
わたし:
うん‥‥今休ませてって言ったから。
父:
うん、いやだからせっかくの時間、もったいないからいいよ。
――天の邪鬼だなぁと思う。ここで強がってしまうから、父は自分の本音がわからなくなる。
ショックというのは、本音に近いものであるはずだ。受け止めきれなくて休ませてほしいというのも。
こういうときこそ、じっくりショックな気持ちと向き合ったほうがいいのに‥‥。
― 今日はここまで ―
天の邪鬼の由来を調べてみた。
父の場合、人の心を見透かしているというより、自分の本音を守ろうとしているだけのように見えるが、実は見透かされているのかも?
確かにわたしは、父がどんなエピソードを話そうとも、「父に自分と向き合わせよう」「姉の気持ちを理解させよう」という方向に論を展開する。そんなわたしの心を見透かして、そうはさせまいと反対意見を言ってくるのかもしれない。
だからぽろっと本音を言ってしまったときには、平気なふりをして、それが本音ではないと隠そうとするのだろう。
本音でぶつかり合いたい。
というわたしの切なる願いも、天の邪鬼には届かない。
<次回に続く>
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