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【連載】家族会議『恨みつらみの奥にはカナシミがいる』
「親戚で一番幸せな家族になろうよ」のひと言から始まったわが家の家族会議。その様子を、録音記録をもとに書き記しています。
前回の記事はこちら。
【家族構成】
父:自己愛性パーソナリティ障害。頭に血が上ると大声で威圧する。
母:自己肯定感が低い。自分の意見を言えない。
姉:うつサバイバー。心理カウンセラーをしている。
わたし:性犯罪サバイバー。家族会議を主導する。
※遠方に住む姉は家族会議には参加していない。
※家族会議の目的は、夫婦仲の改善と、うつを抱える姉の気持ちをわかってあげられるようになることである。
家族会議14日目#4|恨みつらみの奥にはカナシミがいる
――父の仕事人生について話を聞いているこの日。父は100%言い尽くしたと言った。
でもわたしは、100%言い尽くしてもらった気がしない。押し込めた気持ちがある気がするのだ。
わたし:
言い尽くしたんだ。もっと、KさんとTさんへのうっぷんを吐き出していいよって思うんだけど。
母:
そうそう。そのつもりで昨日も聞き始めたんだよね。まだ出し切れてないでしょうよね。KさんとTさんに対しての気持ちは。その時々で思ったことはいっぱいあるんだろうけど。
――KさんとTさんは、父が新聞の死亡欄をチェックしてしまうほど、恨みを募らせている取引先の人である。
父:うーん。
Tはもう(途中で)いなくなったからあんまり、あれだなぁ…。
――恨みつらみを抱えてはいても、それを口に出すのをためらうのが父だ。
人のことを悪く言いたくない。というより、悪く言うもんじゃない。という教えがあるからだろう。
それもわかる。
だけど、恨みつらみが解消されないままでも害になる。
そのストレスが体をむしばむこともあれば、逆恨みして相手を攻撃することもある。まったく関係のない第三者で、うっぷんを晴らそうとすることもあるだろう。
そうならないためには、その恨みつらみ、というより、本当は傷つき悲しんでいるその気持ちに、共感してもらうことが必要だ。
家族にそれを聞いてもらうのは、健全なことだとわたしは思う。
(ここからは誹謗中傷の言葉を含みます。苦手な人は読み進めないでください。)
わたし:
Tさんはざまあみろって感じ?
父:
うん…。
わたし:
せいせいしたみたいな。笑
父:
死んだと思えば…。
母:
死んだと思えば?
わたし:
どうせろくな人生を送ってないんだろう?みたいな。
父:
そうそうそう。笑
もうはっきり言えばそう!みんなから嫌われてんだあれ。
――父の気持ちを代弁して暴言を吐いてあげると、父も調子が出てきたようだ。
わたし:
そうなんだね。Tさんはもともと、性格が悪いってこと?仕事もできなくて、性格も悪い。
父:
仕事はできたかもしれないけど
わたし:
あ、仕事はできたの?
父:
うん性格は悪い。性格は本当悪いな。お客さん相手するような人間じゃないわあれ。
母:
口が悪いとか、何か言ってたよね。
父:
うん、口が悪いし、上から目線です。完全に。
わたし:
この2人から受けてたのは上から目線だってわかるんだね?ここは。
父:
そこはわかる。
――父も上から目線をする人だ。それを指摘すると、どこが上から目線なのかまったくわからないと言う。
なら「上から目線の人に嫌な思いをしたことはないのか」と聞くと、「当たり前と思っているから嫌だと思わない」と言うのだ。
でもやっぱり、わかっていた。
ネガティブな感情を押し殺し、蓋をしているだけなのだ。
それのどこがダメなのか。と思う人もいるだろう。
どこがダメかと言えば、”嫌な思いをする側”の気持ちがわからなくなるからだ。
そうすると、「自分がされて嫌なことを、自分もやってしまう」ということが起こる。そしてやられるのは、たいてい第三者なのである。
わたし:
あれが上から目線だろうなっていうのは、どんな言葉とかがあった?どの辺が上から目線だなって、むかついてた感じなの?
父:
まずお前らって言うからね。
わたし:
お前らなんだ?お前らなんだね!
なんかもうその辺も時代を感じるわー。今はないよね、多分。S社だって、言わないんじゃないかなって思う。今だと問題になるよねこれ。それってKさんもTさんもなの?
父:
いや、Tの方がそうだな。そういう言葉遣いするんだ。
わたし:
そうなんだ。
父:
Kさんはそういう言葉遣いはほとんどしないんだけども。何て言うの、圧力があるじゃん。その雰囲気が。それが上から目線の、なんていうの
わたし:
嫌な感じなわけだ。
父:
嫌な感じかな。
有名だから。S社のKさんっていったら。
わたし:
ふうん。お父さんみたいな感じだね?うちの家族にとっての。笑
圧力のある感じね。緊張感漂うというか、会うのが嫌だなみたいになるっていう。なるほど。Kさんの方が頭がいい感じなのかな?
父:
うん?頭の良い悪いって何でやんのかわかんないけど。
わたし:
いや、なんかTさんはさ、お前らとか言ってくるぐらいだから馬鹿っぽいなって思って。
父:
あ、そういう意味ではKさんは頭は良いな。
母:
チンピラっぽい感じ?
わたし:
そうそう、なんていうか、精神年齢低そうっていうかTさんは。技術とか知識とかの頭の良さじゃなくって
父:
Kさんは頭いいから、そんな言葉使わずに攻めてくるっていうか。そういうところはあるわ。
わたし:
論理的な攻めとか
父:
実際に頭いいと思うわ。この人。鉄鋼短大出てるんだよ。
わたし:
だからやっぱKさんの方が嫌だよね?きっと。
父:
うん、たち悪いっていうか。
わたし:
Tさんみたいな人も嫌だけど
父:
馬鹿は相手にしなきゃいいって感じでさ。
わたし:
うん、そういう気持ちになれそうだけど、Kさんみたいな人って、気抜いたら負けるっていうか
父:
んでね、フランクな話もするんだよKさんは。
わたし:
そうなんだ。
父:
だからそういう意味でね、始末になんねえなと。いざトラブったとかなんかするとね、頭ごなしでさ。俺に言わずに本部に直接言ったり。
わたし:
うん。
父:
そういういやらしさがあるんだ。
母:
告げ口みたいなこと?
父:
表現ちょっと悪いけどそうかもしれない。
母:
Kさんは、底意地が悪い。
父:
底意地?底意地か(笑)
そういう言葉あるんだ。
母:
ある。底意地が悪い。言葉は綺麗でも、なんかあるよね、言葉綺麗で人を追い詰める人って。
わたし:
私そういうタイプかも知れない。笑
またちょっとタイプの違う上から目線かもね。TさんとKさんっていうのは。Tさんの場合は上から目線でくるけど、上じゃないのがこっちもわかる。
父:
なんでTが嫌だかっていうとさ、みんながいる前で言うわけだよ。
わたし:
あ~
父:
それが嫌だよな。2人で居るときなら、「何言ってんだこいつ」って腹の中で思えるんだけど
母:
みんなの前で恥ずかしい思いをさせるってこと?
父:
みんなの前で言う必要ないのに
わたし:
侮辱してくるみたいな。そうなんだ。みんなの前で言うのね。
父:
そうなんです。
わたし:
あとはどんなこと言われるの?お前らのほかに
父:
お前らとか。あととにかくみんなの前で言うんだこの人は
わたし:
そうなんだ。
父:
うん。要するに、あの人の特性はみんなの前で言う。それがたち悪い。
わたし:
つまりあれだね、自分のあれを示したい。権力、権威を。
父:
誇示したいんだろうな。
わたし:
示したい人なわけね。
――Tさんは権力を誇示したい人。父は恥ずかしい思いを絶対にしたくない人。だから父にとって、とても鼻持ちならない相手だったのだろう。
もともと父は、羞恥心を極度に恐れるところがある。回避できるものなら、事前に回避してでも恥をかくことを避けてきた人だ。
でも仕事ではそうもいかない。だから何かと恥をかかせてくるTさんを、ずっと恨んでいるのだろう。
わたし:
2人とも意地悪だったんだね、すごく。まともに一対一で話をしてくれない。
父:
Kさんは一対一で話すんだよ。普段はするんだけど
わたし:
普段はでしょ?
父:
ことが起きると
わたし:
なにか起きたときにこそ、その場で話して解決した方が早いわけじゃん?
父:
騒ぐだけなんだよな!
わたし:
意地悪なことしてくる!
母:
そっちが悪いと思ったらもう騒ぐ!
わたし:
どういうつもりだったんだろうねKさん。お父さんから聞く感じでは、自分の都合が悪いからだよね。
普段から言われてることを直してない上でトラブルが起きると、自分の都合が悪いから、何も言い返せないように先にお父さんをやっつけとくみたいな。防御をするみたいな感じだったのかなって。
それかもう、単純な意地悪。痛めつけてやれみたいな?
父:
前半のほうだな。
わたし:
そうなんだね。頭いいやり方をしたってことだよね。
父:
賢い人だよ。
わたし:
でもさ、なんか抹殺したいほど嫌いなわけじゃん?もっと他にあるよね?だってまだ抹殺したい気持ちになってこないから。私は。
父:
いやあのね、圧力というかね。それが日々っていうか、ほとんど毎日感じてるわけだよ。その圧力が疲れる。
母:
とにかく毎日会いたくない人に会いながら仕事をしなきゃいけないっていうその状態が、積もり積もったのかね。
父:
まあKさんって言ってんだけども、根源はその人なんだけど、その人は自分の社内にも言うわけだ。上長とか何とかに。その人らにもね、刺されたな。
母:
何か言われたってこと?
父:
言われてる。だからいろんな矢が刺さってんだけど、根元がKさんなんだよ。矢の根源がね。
わたし:
Kさんさえ居なければ刺さらなかった矢があるのにみたいな、そういう恨み?
父:
うん。
わたし:
なるほど。人に言うっていう、ところにすごいむかついたってことね。広められる…
父:
人に言うのはまあなんていうの、上長に言うのは当たり前だろって言われりゃそれまでだしさ。
母:
ただの報告ではない感じかね。
父:
何か乗っけて話するんだろうな。
わたし:
そういうことか。
母:
その報告の仕方が
わたし:
意地悪?
父:
Kさんいなかったらほとんど、そんなに矢刺さってないと思うよ
母:
矢の原因はK
父:
と、俺は思ってる。
わたし:
なるほど。
母:
あれだったのかな。お父さんのプライドがものすごく傷つけられた、傷ついた。
父:
それはあるわ。
わたし:
そうだよね。みんなの前で言われたりとかさ。できない人間なんだみたいな印象付けられる。
父:
だから社内からも文句言われるS社からも文句言われるって本当、文句っていうのはプライドをね、ズタズタにされた感じした。
母:
そっかぁ。ズタズタにされたらズタズタにしたいよね。ズタズタだよ。
わたし:
よくやったね、本当。
父:
ほんとよくやったよ~。あれだね、やっぱり最後のね、仕事の喜びを感じられたっていうのがあったから、終わりよければ全て良しじゃないけどもさ。最後のそれがなかったら本当惨め。そんな気がすんな。
- 今日はここまで -
父が嫌いなふたりがどんな人で、どう嫌だったのか。それを詳しく聞いて共感すると、父も満足した感じはある。
それが、共感の力だと思う。
本当は、恨みつらみの奥に隠れるカナシミに共感したいところだけど、カナシミの代わりに出てきているムカムカやイカリを、まずは落ち着かせる必要があるということだ。
(『インサイド・ヘッド』を見てから、感情のキャラクターに当てはめて考察することにすっかりハマってしまった…笑)
<次回に続く>
これまでの家族会議記事はマガジンにまとめています。お時間あればぜひ、わが家の会議をのぞきに来てください!
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