『人生案内』備忘録|社会学者・山田昌弘の回答3選
今日も読売新聞の『人生案内』備忘録。
切り抜いて取っておいた『人生案内』を整理している。それで昨日は、哲学者の小川仁志さんが回答した相談を集めて備忘録にした。
取っておいた切り抜きの中で、小川仁志さんの次に多く登場したのが、社会学者で中央大学教授の山田昌弘さんだった。
今まであまり意識していなかったのだけど、どうやらわたしは、山田教授の回答が好きらしい。
#1|無理して結婚しても、かえって不幸になる
これは、婚活がストレスになるが、結婚願望もあり悩んでいる女性への回答だった。
高齢世代でこういうこと、言う人がいるんだな、と思った。
実際、妥協でなくても結婚して、不幸になっている人だらけ。なのに、そういう不幸の張本人が、「結婚は?」「結婚しないの?」と聞いてきたりする。「結婚なんてしないほうがいい」という人などいない。
わたしは中年の独身だけど、まだまだ「結婚するのが当たり前」の空気が漂っていることを感じる。その空気を作ってきたのが親や祖父母世代の人たちなわけで…。
だけど価値観は、年齢には関係ないんだな、とも思う。
山田教授は、こうも言っている。
相談者の心情に寄り添いつつ、幸せに生きているということがなによりも大事だと。
わたしも同じ考えだ。
#2|夫婦だからと言って、仲良くなれるとは限らない
妻と会話がなく、仲良く暮らすにはどうすればいいか…という50代男性への相談にはこう答えた。
ぷっと笑ってしまった。
厳しいけど真っ当なことを言っている。
父に読ませたいと思った。
母と喧嘩すると、怒って「離婚だ!」と言っていた父。それを言えば母が黙ると思っている、その意識が「結婚してやってる」意識と同じだろう。
この相談者も、「離婚」を出したり、妻を無視したりしたことが何度もあるという。それに反発する妻を、「高圧的で亭主関白な義父の性格を引き継いでいる」と表現する。妻に言われた言葉を根に持っているのだ。
両親と全く同じ。
そんな夫婦が仲良くなれるはずもない。
今まさに、会話のないわが家。
父が「プライドをすべてなげうって許しを請う、許してもらうまで何年でもそれを続ける。」姿は想像できない。でもわが家の場合、今ならまだ手遅れではない。
#3|中高年は変化を理解したいとも思わない
祖母から「早く結婚しろ。そうでないと孤独死の心配もあるぞ。」と言われた20代の男性の相談には、時代と価値観の変化を解説した。
山田教授は「私も高齢者の一人ではあるのですが。」としつつ
変化を受け入れられないどころか、「理解したいとも思わない」という言葉に、そうなんだろうなと思った。実際のところ。
そもそもは、「自分たちはそれでうまくいったという成功体験」そのものが美化されているんじゃないかと思うけど、成功したと信じ込んでいる以上太刀打ちできない。
わが家では父がまさにそうである。信じ込んでいる以上、そこに悲しみの体験があるのだと寄り添おうが、それが偽物だと論破しようが、それゆえに家族が苦しんでいるのだと訴えようが、びくともしない。
父に、美化された成功体験の真実を見せようとするのは酷なことかもしれないけど…。
『人生案内』の回答者の名前を見ても、知らない人が多い。
山田昌弘さんってどんな人なんだろう?と調べてみると、なるほど!となった。
社会に影響を与える言葉を発信している人だった。
わたしは中年ではあるけれど、山田教授にとっては若者にあたる。パラサイト・シングル(親と同居し続ける未婚者)でもあるわたしにとって、耳の痛い発言もしていると思う。
それでも『人生案内』の回答を読めば、現実をありのままに捉え、包み隠さず正直に発言している印象がある。山田教授の言葉に耳を傾けておかなければ、わたしも父と同じになってしまうのだろう。
気をつけたい。